「狼と香辛料Ⅲ」/豊作の神と行商人の旅3 | 旧・日常&読んだ本log

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2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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支倉 凍砂
狼と香辛料〈3〉 (電撃文庫)

二人の旅は、ホロの生れ故郷ヨイツにぐっと近づき、彼ら二人は冬の大市と祭りで賑わうクメルスンの町へとやって来た。

今度の危機は、ホロとロレンスの仲を裂こうというもの。ホロに一目惚れした、魚商人アマーティが、ロレンスに対するホロの借金を完済し、ホロにプロポーズすることを宣言したのだ。

常であるならば、二人の絆にそんな輩が入って来ることは有り得ないのだけれど…。ホロとロレンスは、例によって微妙な仲違いの最中であり、ロレンスはホロを信じ切ることが出来なくなってしまう。

この巻でクローズアップされるのは、神であるホロの時の長さと、ただの人間、行商人であるロレンスの時の違い。二人は今この時を共にしているけれど、二人の持ち時間は決して同じではない。ましてや、行商人から町商人を目指すロレンスにとって、行商をしながらとはいえ、ホロの故郷への旅に付き合うという道草に使える時間はおのずと限られているわけで…。この物語は、手触りが感じられるような服の描写、美味しそうな食べ物の描写には非常に優れていると思うのだけれど、どうも季節の変化、外界の変化はいま一つ分かり辛い気がいたします。なので、その辺の切迫感はロレンスの言う台詞からしか読みとれないんだけどさ。や、麦の収穫から冬の大市なんだから、1巻から3巻までは大した時が流れていないと見るべきなのか。

今回の危機に対しても、ロレンスはやはり商人として立ち向かうことになる。黄鉄鉱の取引に絡むこの勝負。私、きちんと理解出来たわけではないような。汗

さて、ロレンスにとってホロはどんな存在なのか? またホロにとってのロレンスは? ロレンスも少々腹を括らねばならないのかも。異種婚についても聞いちゃったりしているわけだし、読者もそれを待ってると思うよ。笑

■関連過去記事■
狼と香辛料 」/豊作の神と行商人の旅
狼と香辛料Ⅱ 」/豊作の神と行商人の旅2