「 コンビニたそがれ堂―街かどの魔法の時間 」/探しものはなんですか? | 旧・日常&読んだ本log

旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


村山 早紀, 名倉 靖博
コンビニたそがれ堂―街かどの魔法の時間 (ポプラの木かげ)

カフェ・かもめ亭 」と同じ風早の街には、探し物があるものだけに開かれているコンビニがあるらしい。赤い鳥居がたくさんあるあたりに、もしもコンビニの灯りがぽっかりと光っていたら…。そこには、長い銀色の髪に金の眼の若者がおり、ぐつぐつ煮えているおでんと、つくりたてのお稲荷さんのあまいにおいが漂っているのだという。

たそがれ堂が受け入れるのは、人間だけではない。時には飼い主のことを強く想う猫だってやって来る。カフェ・かもめ亭と違って、いつでも誰でも入れるお店ではないけれど、さすが風早の街。やっぱり、このお店もとても素敵。

もくじ
コンビニたそがれ堂
手をつないで
桜の声
あんず
あるテレビの物語
エンディング~たそがれ堂
 あとがき


私が好きだったのは、「桜の声」と「あんず」。
ラジオ風早のアナウンサーであり、『ティータイムをあなたと』を担当するさくら子の元に届くようになった手紙。両親の待つ田舎に帰りもせず、ひとり、この風早の街に居続ける自分。自分の声はどこに届いているのか。自信をなくしていたさくら子だったけれど…。ケツメイシの「さくら」がキーワード。確かに、「ケツメイシノサクラ」ってちょっと呪文っぽくもあるよね。

拾ってくれた「おにいちゃん」のことを強く想う猫のあんず。自らの死期を悟ったあんずは、たそがれ堂に辿り着く。彼女が求めたものは…。助けたものと助けられたもの。でも、そのどちらもが、どちらの「助け」にもなっていたのだ。

これは、挿絵を名倉靖博さんという、アニメ界の方が担当されているのだけれど、そのせいか読みながらも、何となく登場人物たちが頭の中でアニメのように動いてました。この設定だったら、実際に連作としてアニメ化も出来ちゃいそう。ほのぼのと優しい物語に、心が癒されそうです。ちょっと甘口だけれど、偶にはこんなお話もいい。