「ミミズクとオリーブ」/安楽椅子主婦探偵。得意は故郷、讃岐の郷土料理 | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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芦原 すなお
ミミズクとオリーブ

街の喧騒を離れ、八王子の郊外で静かに暮らす、作家のぼくと妻。手土産片手に訪れるは、夫妻と同郷の警察官、河田。河田の楽しみは、奥さんの手料理なのだけれど(「お手間でしょうけれど、~にもしてくれたら」などと、土産を手渡したりもする)、それとは別にこの奥さんの卓越した推理力をも当てにしているようで・・・。人ごみが嫌いな奥さんの代わりに、目になり耳になるのは、作家の夫のお役目。友人、河田と漫才のようなやり取りをしながら、現場に赴くのだ。

表題のミミズクとオリーブは、庭にあるオリーブの樹に来るミミズクのこと。子供がいない夫婦の元に、日毎現れるミミズクは、奥さんの手から食べ物を貰い、ぽーぽーと鳴く。そんなのどかな風景が実に似合う夕暮れ。

目次
ミミズクとオリーブ
紅い珊瑚の耳飾り
おとといのおとふ
梅見月
姫鏡台
寿留女
ずずばな
 解説 加納 朋子


いやー、郷土料理に安楽椅子探偵といえば、まさに私の好みー!と思って、古本屋で捕獲したのですが、これは実は微妙でした。表紙の雰囲気、登場人物の考え方や行動から、昔の話かと思いきや、実はどうも現代の話のようであったり。どうせだったら、レトロな味わいもあることだし、現代ではなく、ノスタルジックに一昔前を舞台にしてくれた方が良かったなぁ。

そして、主役とも言える安楽椅子探偵の奥さんが! この奥さん、出来過ぎというか、こんなにデキるだなんて逆に怖い。友人河田が突然訪ねてこようが、手土産をああしてくれ、こうしてくれと細かく指示を出されようが、そしてその料理を奥さんの分などを考えもせず、男二人で出されるがままさっさと食べてしまおうが、特に全く気を悪くする様子もない。

でも、話の中で唯一時制を遡る、「梅見月」における、まだ結婚どころか、お付き合いすらしていない頃のお話なんて、この旦那さん、完全に奥さんの手の中で転がされているのである。いいのだろうか・・・。そして、奥さんはこの旦那さんのどこを、そんなに気に入ったのだろうか・・・。

せめて(?)、美味しそうな料理のメモ。

・カラ付きの小海老と拍子木に切った大根の煮しめ
・白身の焼き魚の身をすり鉢ですって麦味噌と合わせ、ダシでのばしてご飯にかけるサツマ(ダシでのばさず、小鉢に盛って酒のツマミにするのも良し)
・新しくて肉厚のスルメの天麩羅(身の方は上下に二つに切り、さらにそれぞれを二センチ幅で縦に切る。足の方は、一本ずつさいて揚げる)

続きも一緒に買っちゃったんだけど、どうしようかな、これ・・・。汗 ほのぼのはしてるんだけどねえ、ほのぼのは。ただ、ちょっと、この旦那さんの能天気っぷりに、軽くいらっとくるだけで・・・。