大和書房
これは文字通り、国際結婚をした新妻「ヨーコちゃん」の、韓国での暮らしを4コマ漫画と文で綴ったもの。
表紙で汗をたらたら流しているのが、新妻であり著者である「ヨーコちゃん」。
なかなか微笑ましい感じでしょ?
目次
Ⅰ ヨーコの韓国暮らし<入門篇>
「天敵」~「ばんざい!」まで、全43篇
Ⅱヨーコの韓国暮らし<初級篇>
「春だから・・・」~「あとがき」まで全41篇
多分、これは著者「ヨーコちゃん」の性格によるものだと思うのだけれど、その筆致はあくまで柔らかく温かい。「はじめに」と題した文章の中で、「日本嫌いというイメージから想像していたよりずっと温かく接してくれる韓国人の中で、少しずつ韓国生活になじんでいったのです」とあるけれど、これはこの「ヨーコちゃん」の心の温かさによるものも多いのでは、と思った。勿論、表紙の通り、汗をたらたら流すようなお話も載っているんだけどね。
切符売り場で「ヨーコちゃん」が、正しい発音を出来るまで、発音を正してくれる切符売り場のおじさん、散々話した後、互いに間違い電話だったと気づく会話、道を聞いたら、自分も最近引っ越したばかりなのに、「ヨーコちゃん」の目的地を探し出してくれた女の子、バスのエアコンの強風に晒された「ヨーコちゃん」に、上着を貸そうとしてくれた隣の席の男性、など、情厚い韓国の人たちとの触れ合いが描かれる。
ちょっとしたことで、へぇ~、と面白かったのは、日本では野菜とされるミニトマトが、韓国ではかき氷にもケーキにも乗っかっているということ。フルーツ扱いなのでしょうか? そして、かなり怖いのが、韓国のバス。「スリル」というタイトルの漫画と文が載せられているのだけど、「ヨーコちゃん」は初めて韓国でバスに乗った時に、あまりに速くて腰が抜けるかと思ったそう。凄まじい交通渋滞の中を、バスの運転手さんは、すり抜けのテクニックを駆使し、猛スピードで走る!走る! 更にこのバスは乗り込むのにも一苦労らしく、並ばないで待つ中、他の乗客たちとの水面下の競争と緊張感を得ることが出来るらしい・・・。乗るのも大変なら、降りるのも大変。「ドアが閉まる前に走り降りなければならないこの焦燥感・・・・・・」。いや、私はあまり味わいたくないぞ。最初は怖がっていた「ヨーコちゃん」、今では好んで乗っており、更にちょっとスピードが遅いとイライラするくらい、韓国生活に馴染んだそう。
あまり詳しく書いてなかったけれど、ちょっと気になるのが、韓国男性の結婚前と結婚後の違い(どうも韓国の留学生は、韓国の女性に言わせると、条件が悪い人が多いらしい? ちなみに「ヨーコちゃん」と旦那さんは留学先で知り合った)や、最後のページ「憂鬱な新妻たち・・・」にあった、「韓国人のおくさんも大変だというミョンジョルが近づくと、慣れない外国人妻たちの心も重くなる・・・」という一枚の絵。
日常の楽しかったこと、良かったこと、ちょっと困ったことはこの一冊で十分分かったのだけれど、もっとディープな韓国も知りたいなぁ、と思った。
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。