DVD「グッド・ウィル・ハンティング」 | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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松竹
グッド・ウィル・ハンティング パーフェクトコレクション

マタイによる福音書の「タラントン」のたとえを思い出した。

ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けて旅に出かけた。

ここからは、預かった「タラントン」を、それぞれがどう扱ったかという話。僕たちの主人が帰って来て清算を始めた時、工夫してもうけた者は誉められ、失くすことを恐れ、ただ地中に隠してもうけることをしなかった者は怒りを得る。

『だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』

タラントンは、「タレント(才能)」の語源でもある。
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舞台はボストンの下町。青年ウィル・ハンティングは天才だ。彼は何の苦も無く、高度な数学の証明を解く事が出来るし、読んだ本の内容はほぼ完璧に覚えている。

ただし、その才を活かしているかというと、答えはノー。仕事はMITの清掃員だったり、解体現場の作業員だったり。夜毎酒場で飲み歩き、交わる友人はほとんどちんぴら同然。

MITで数学教授にその才能を見出されてからも、彼はその才をまだ活かそうとしない。イギリス出身の(英語のアクセントが全然違う!)ハーバードの女子学生と知り合っても、彼は彼女の愛を恐れたまま。―愛されて、でももし捨てられたら?ウィルはひどい虐待を受けて育ったため、自分の殻に閉じ篭り、心を閉じている。

ウィルの才能は、周りの人たちを打ち砕く。

君は自分の言葉が分かってない子供だ

しかし、精神科医ショーンと出会うことで、少しずつ彼は心を開いていく。ショーンもまた、心に傷を負って、一つ所に留まったままの人間。最初のセラピーの時間における、切り結ぶ様な二人の会話はなかなかの迫力。

ウィルが完全に心を開くことになる場面は、ちょっと甘いのではと思わないでもない。でも、それまでの信頼関係があったからこそ、ショーンの「君は悪くない」という言葉が、きちんとウィルに届いたのかもしれない。

「彼の友人はほとんどちんぴら同然」と書いたけれど、ウィルの親友役のベン・アフレックもとてもいい。自分たちとは違うウィルを認め、旅立つことを願う。―自分は五十になっても、解体現場で働いていてもいい。だが、ウィルは違う。いつものようにウィルを迎えに行ったら、忽然とウィルが消えている。そんな日を彼は願う。

ウィルの彼女の強さが印象的だ。彼女は決して恐れない。恵まれた環境にあることは、自分のせいではないとウィルに主張するし、自分に対して掛かっているコストも冷静に把握している。所謂美人ではないのだけれど、すごくユニークで魅力的な子だった。