- アミューズソフトエンタテインメント
- リトル・ダンサー DTSエディション
炭鉱の町ダーラムで暮らすビリーは十一歳。母は既に亡いが、少し惚けかかった祖母と、父と兄と暮らしている。父と兄は炭鉱労働者。ストライキが長引き、警官隊との衝突が耐えない日々を送る。
こんなマッチョな町で男の子がやるべきスポーツは、ボクシング、サッカーやレスリング。ある日、ビリーはボクシングクラブの隣でやっていた、クラシック・バレエに魅せられる。ボクシングホールでバレエを教える先生に助けられ、ビリーはロイヤル・バレエ学校のオーディションを目指す。
いい気分です
踊り出すと 何もかも忘れて 消えます 何もかも
自分が変わって 体の中に炎が 宙を飛んでる気分になります
鳥のように 電気のように そう 電気のように
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単に男の子がやるべきではないスポーツをやっている、というだけではない。炭鉱の町では、バレエなどには縁がない。だって父はダーラムしか知らず、これまでロンドンに行ったこともないのだ。
「国の首都だよ」「だが炭鉱はない」
日本で同様の物語を作ったとしても、決してこの作品と同じにはならないだろう。階級、クラスというものを考えた。それによる選択肢の幅というものも。
父は兄に「おれたちに未来が?」「だがビリーには未来がある」という。生まれ育った町を離れず、将来も見えた生活を送る父兄とは、違う道もあるはずなのだ。
ストが終わって炭鉱へ入るシーン(暗い中にすし詰めで降りていく)、ビリーが去った後のボクシングホールでの先生の姿が印象深い。
ラストもいい(可憐な少女と見まごうばかりの、ビリーの友人マイケルの変貌ぶりにはびっくりするけど)。
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色々なことを抜いても、踊る喜びに溢れたビリーはとても魅力的だ(クラシックバレエの型に、単純に当てはまるものではないと思う)。父と兄のビリーへの愛もいい。後半からのお父さんの行動は素晴らしいの一言!かっこいい!
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■毎度でしつこいですが、ペトロニウスさんの所にも、「リトル・ダンサー」の記事があったので、こちら
にリンク。
漫画「昴」もクラシックバレエを題材とし、また周囲に理解されなかったよなぁ。「リトル・ダンサー」のビリーの方が、周囲の人々は温かい。日本を舞台にするとなると、あれぐらい主人公を孤独にさせなくてはならなかったのかな。