探偵小説/「ストリート・キッズ」  | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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ドン・ウィンズロウ「ストリート・キッズ」

手に取った切っ掛けは綺麗な表紙。全くもってのジャケ買い(ってCDにしか使わないのかな)です。創元推理文庫は表紙が綺麗なものが多いです。
探偵もの→表紙いい感じ→買っちゃえ~!、という流れでした。
今でこそ、バンバン買うことはなくなりましたが、昔はバンバン買ってジャバジャバ読んでいたのです(そしてジャンジャン忘れていきましたが)。

同じ版元の北村薫「円紫さんとわたし」シリーズも大好きです。北村さん、こんな素敵な女の子は現実にはいないよ~と思いつつ、ミステリーなのにとても柔らかな気持ちになります。ミステリーと言っても「円紫さんとわたし」では、人死にが出たりはしませんし。

ドン・ウィンズロウ「ストリート・キッズ」に戻ります。こちらもシリーズで、恐らく今出版されているのは「ストリート・キッズ」「仏陀の鏡への道」「高く孤独な道を行け」の三作だと思います。タイトルにも惹かれる。そういえば最近続きが出版されていないような…?
(その後、四作目「ウォータースライドをのぼれ」が出版されました)
一作目の表紙の裏には、以下の解説が載せられています。

プロの探偵に稼業のイロハをたたき込まれた元ストリート・キッドが、ナイーブな心を減らず口の陰に隠して、胸のすく活躍を展開する

減らず口にイライラするかもしれませんが、私は主人公のニール・ケアリーが好き。
第一作目では、元ストリート・キッドのニールが、なぜ探偵として働くことになったのか、ニールが追いかける現在の事件と共に語られます。探偵修行、掃除の仕方、全てを父代わりのグレアムがニールに仕込む。この擬似父子の関係がいいのです。
あ、グレアムが教える掃除の仕方、普通に参考になりました。あからさまに手助けをするわけではないけれど、周囲の大人もいいのです。
ニール、幸せになってくれるといいな。
ニールが学んでいる英文学がわかれば、もっと面白さが増すように思いますが、話の本筋を差し引いても(?)、人物造形が優れているので読ませてしまうシリーズだと思います。

「よくやったな、坊主」
「ありがと、父さん」


著者: ドン ウィンズロウ, Don Winslow, 東江 一紀
タイトル: ストリート・キッズ