本日の読書感想文





夜明けのすべて

瀬尾まいこ


あらすじ 


知ってる?
夜明けの直前が、一番暗いって。

「今の自分にできることなど何もないと思っていたけど、可能なことが一つある」
職場の人たちの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、やる気がないように見える、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。
山添君は、パニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。
互いに友情も恋も感じていないけれど、おせっかいな者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになるーー。

人生は思っていたより厳しいけれど、救いだってそこら中にある。
生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。


グッときたポイント 


主人公の藤沢美紗は、PMS(月経前症候群)によるイライラが抑えられず、毎月苦しんでいます。


私も生理痛はそこまでひどくないのですが、生理2日前から生理が始まるまで、頭痛と腹痛、イライラに悩まされていました。

加えて、当時は妊活中だったこともあり、毎月生理がくる度にひどく落ち込んで、憂鬱な日々を送っていました。


周りの人に相談もしづらく、薬も飲まず毎月耐えていた私。

仕事を終えて家に帰っても人と話す気にもなれず寝室に閉じこもると、夫も「どうして不機嫌なんだ」と気分を悪くして機嫌が悪くなり、悪循環の日々でした。


そんな中、たまたま上司に紹介されて読んだのが、この「夜明けのすべて」。

主人公の気持ちが手にとるように分かり、一気に読み進めました。


この物語にはPMSに悩む主人公だけでなく、ある日突然発症したパニック障害に苦しむ青年も登場します。

「どうして私は簡単に、彼のことをやる気のない人間だと決めてかかっていたのだろう。」

「PMSよりパニック障害の方がつらいに決まっている。いや、はたして本当にそうだろうか。」


思いやりの心がいかに大切かに気付かされたこの小説。

働きづらさや生きづらさを感じながら働く人は、世の中に大勢いて、ちょっとしたことをきっかけに、ひとは前向きに生きていくことができるのだと感じました。


2024年2月に松村北斗さん・上白石萌音さんのW主演で映画化もされています。

映画の方はまだ見られていないので、今年中に見てみたいと思います。