イヴの魔法(上)だ!!
ツムラだ!!
タンタンは一旦お休みしまして、とある同期の女芸人を主人公にした作品を書かせていただきました。
クリスマスによっぽどお暇な方に是非。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
イヴの魔法(上)
12月25日。
いつもの喫茶店で、いつもの3人。
華やいだ街並みも風も、この光景ではただの木曜の昼下がりである。
「結衣は?イブの夜、なんかあったん?」
いつも通り、茜が色恋話を仕切りたがる。
自分のことはミステリアスに包むくせに、他人の事は誰よりも知りたがる性格。
「なーんもないわ。パン焼いてた。」
「じゃあ、ミカちゃんは?」
「あたしぃ~?どうやろなあ。」
「どうせ何もないから!!聞くだけ無駄!!」
思わせぶりな態度のコントをし、すかさず結衣に突っ込まれ、がははと甲高い声をあげて笑う。
いつものメンバーのいつもの光景。
でも、今年のクリスマスは、少し違っていたのだった。
話はひと月前に遡る。
11月24日。
ミカは、後輩の誘いで、見知らぬ異性との飲み会、いわば"合コン"に参加することになった。
意外かもしれないが、女芸人がこういった会合に参加することはよくあることで、つまり男性陣は「女の子で芸人」というファクターにかなり興味をそそられ、開催されるというパターンが多い。
そのため、その場はすごく楽しいのだが、よほど見た目が小綺麗でないとなかなか"その先"には発展しないというのが現状。
なので、ミカは回を重ねるごとにモチベーションを失い、今回もまた乗り気ではなかった。
実際現場に行ってみても、後輩もどこで捕まえてきたのか、というような美男子揃い(イケメンパラダイス)。
しかも有名企業の商社マン。
普通のOLだったらテンションが上がるのかもしれないが、ミカは女芸人の中でも特にそのビジュアルを笑いに変えるタイプのスタイル。
最初から諦めのスイッチを入れ、いかにも芸人らしく、明るく、時に下品に振舞った。
しかしどうだ。
3人いた男性の中でも、一番ミカのタイプで、話によれば一番エリートだという男が、とにかくミカに興味を持ち、二次会も、三次会のカラオケも、ミカに終始びったりだった。
酒に飲まれてその日のことはよく覚えていない。
ぼんやりと覚えているのは、その"アツシ"という男とよく話したこと。
連絡先を交換したこと。
よろけたミカを、すっと支えてくれたアツシくんの腕が丸太のように太くて、大きかったこと。
向こうも相当飲んでいたから、酔ってなんにも覚えていないはず。
からかっていただけだ。
期待しちゃいけない。
期待しちゃいけない。
ネタ合わせがあるから、少々二日酔い気味でも無理矢理引き起こした身体が手に取った携帯電話に、一通のライン。
(昨日はありがとう!!ミカちゃんのおかげですごく楽しかった!
話してたイタリアン連れていきたいな
次、いつ会える??)
期待しちゃいけない。
からかっているだけだ。
きっと。
でも。
(次、いつ会える?)
浪速のちょっぴり太めのシンデレラは、すっかり恋の魔法にかかってしまった。
(下)に続く…
1/8
UP TO YOU
18:00~
Bスクエア
500円
タンタンは一旦お休みしまして、とある同期の女芸人を主人公にした作品を書かせていただきました。
クリスマスによっぽどお暇な方に是非。
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イヴの魔法(上)
12月25日。
いつもの喫茶店で、いつもの3人。
華やいだ街並みも風も、この光景ではただの木曜の昼下がりである。
「結衣は?イブの夜、なんかあったん?」
いつも通り、茜が色恋話を仕切りたがる。
自分のことはミステリアスに包むくせに、他人の事は誰よりも知りたがる性格。
「なーんもないわ。パン焼いてた。」
「じゃあ、ミカちゃんは?」
「あたしぃ~?どうやろなあ。」
「どうせ何もないから!!聞くだけ無駄!!」
思わせぶりな態度のコントをし、すかさず結衣に突っ込まれ、がははと甲高い声をあげて笑う。
いつものメンバーのいつもの光景。
でも、今年のクリスマスは、少し違っていたのだった。
話はひと月前に遡る。
11月24日。
ミカは、後輩の誘いで、見知らぬ異性との飲み会、いわば"合コン"に参加することになった。
意外かもしれないが、女芸人がこういった会合に参加することはよくあることで、つまり男性陣は「女の子で芸人」というファクターにかなり興味をそそられ、開催されるというパターンが多い。
そのため、その場はすごく楽しいのだが、よほど見た目が小綺麗でないとなかなか"その先"には発展しないというのが現状。
なので、ミカは回を重ねるごとにモチベーションを失い、今回もまた乗り気ではなかった。
実際現場に行ってみても、後輩もどこで捕まえてきたのか、というような美男子揃い(イケメンパラダイス)。
しかも有名企業の商社マン。
普通のOLだったらテンションが上がるのかもしれないが、ミカは女芸人の中でも特にそのビジュアルを笑いに変えるタイプのスタイル。
最初から諦めのスイッチを入れ、いかにも芸人らしく、明るく、時に下品に振舞った。
しかしどうだ。
3人いた男性の中でも、一番ミカのタイプで、話によれば一番エリートだという男が、とにかくミカに興味を持ち、二次会も、三次会のカラオケも、ミカに終始びったりだった。
酒に飲まれてその日のことはよく覚えていない。
ぼんやりと覚えているのは、その"アツシ"という男とよく話したこと。
連絡先を交換したこと。
よろけたミカを、すっと支えてくれたアツシくんの腕が丸太のように太くて、大きかったこと。
向こうも相当飲んでいたから、酔ってなんにも覚えていないはず。
からかっていただけだ。
期待しちゃいけない。
期待しちゃいけない。
ネタ合わせがあるから、少々二日酔い気味でも無理矢理引き起こした身体が手に取った携帯電話に、一通のライン。
(昨日はありがとう!!ミカちゃんのおかげですごく楽しかった!
話してたイタリアン連れていきたいな
次、いつ会える??)
期待しちゃいけない。
からかっているだけだ。
きっと。
でも。
(次、いつ会える?)
浪速のちょっぴり太めのシンデレラは、すっかり恋の魔法にかかってしまった。
(下)に続く…
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UP TO YOU
18:00~
Bスクエア
500円