先週はいつもより忙しく、せわしない日々でした。

なぜかというと、義父の退院が急に決まったから。


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近所で一人暮らしをしている義父が体調を崩して入院したのが7月半ば。肝硬変で、腹水が溜まっていました。

一度は良くなってきたものの、9月初旬にまた悪化。一時は胸水も溜まって息が苦しくなり、酸素を入れなければならないほど予断を許さない状態でした。


その頃、主治医から電話がかかってきて、

「これ以上できる治療法はないので、今後は対症療法のみになる。もしもの時はどうするか(延命措置を取るか否か)考えておいてほしい」

という内容を伝えられました。


その後義父は少しだけ回復し、酸素も必要なくなりました。もちろん治ったわけではありませんし、腹水も溜まったまま。筋力も落ちて日常生活動作(ADL)も低下。特に排泄のコントロールや後始末がなかなかうまくできず、ほぼ全介助となってしまいました。


コロナがまた流行ってきたため、8月半ばには病院の面会が禁止になりました。だから、義父の様子を知る方法は医師や看護師さんから話を聞くことのみ。

ただ、もう一人暮らしは難しいだろうと夫婦で話していました。住環境的に我が家での同居も無理。このまま病院にいることになるのだろうか、と思っていました。


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そんな折に病院から、

「今後のことや退院の話などをしたいので、医療連携室との面談をしてもらいたい」

と打診されます。え?こんな状況で退院…?と不審に思った私たち夫婦。

ですが詳しい方にお聞きしたところ、やはり入院とは病気を治癒させることが目的なので、対症療法や保存療法のために入院継続というのは難しいということでした。

たしかに、病院は介護施設ではないから。病床確保のためにも必要なことなのだと思います。


でも、一人暮らしは無理だから退院しても施設しかないよね?と夫婦で考えていました。認知面はしっかりしているので、本人がある程度自由に過ごせそうなところを探し、とあるツテでとても環境のいいホームが見つかりました(高額ですが…)。


面談は25日の月曜に行なわれました。

そして、そこで驚愕の事実が告げられました。


本人が自宅に帰ることを強く希望している。

施設入所は完全拒否。

だから、退院して在宅で過ごす方向で進めたい。


私も旦那も、絶句しました。

担当看護師さんに、

「私たちはずっと会っていないので、具体的な本人の状況は分からないのですが、自宅に帰って一人で暮らすことは実際可能なんでしょうか」

とお聞きすると、

「現在の様子を見ていますと、ヘルパーさんにめいっぱい入ってもらえれば、自宅でお一人暮らしされることは全くの夢ではないと思います。もちろん元気になって退院というわけではないので、今後状態は悪くなっていく可能性は高いです。ですが一時を思うと今は体調も落ち着いているので、自宅に戻るチャンスなのではないかと」

と言われました。多分、これを逃せば家にはもう戻れないという判断なのでしょう。


我が家は介護ができない状況だと、旦那はハッキリ言ってくれました。

旦那は自営業なので、介護休暇などは取れない。休めば休むだけ収入は減る。私はうつ病の治療をしながら重度知的障害児の長男と未就園児の次男を育てている。近くに頼れる身内はいない。

だから、我が家を当てにしての帰宅は困る、と。


もちろん用事や買い物くらいはできるし、それは今までもしてきました。でもいくら近所とはいえど、オムツ交換や排泄の介助のために都度子連れで義父の家に駆けつけるなんてとても無理な話です。


その後、義父と面会させてもらいました。

入院した頃と比べると12kgも体重が落ち、顔も手足も細くなり、そして相変わらずお腹だけは腹水が溜まっている状態でした。


「あの家に帰る、それ以外の選択肢はない」

「あの家で死にたい」

「自分一人でできる、家に帰れば何とかなる」


義父の意志は固く、とても説得できませんでした。不本意でしたが、退院して自宅に帰るという話が進められることになりました。

退院の準備、病院やケアマネさんとの打ち合わせ、福祉用具の搬入や購入などで先週はバタバタ。

平日はヘルパーさんの確保ができたけど、土日はなかなか見つからないようで不安はふくらむばかり。週末は子どもたちが二人とも家にいるので、私が行って介護なんて無理だよ…。


退院までに排泄だけは自立できるように練習していたみたいなのですがあまりうまくいかず、尿道カテーテルを入れることに。

大腸がんのせいか、お腹が緩くて下血もたまにあるようですが、身体が不自由でうまく拭くことができないみたいです。オムツをしている子を育てている人はよく分かると思うけど、軟便や下痢は少しでも放置するとお尻が赤くなってかぶれてしまい、拭くと痛みます。だからシャワーなどで流すのが望ましい。拭けないのは論外。

本人は自分で始末すると言っているので、私たちもベッド周りを要望通りにカスタマイズしたけど、病院では看護師さんに甘えて全然やろうとしないらしく、家に帰ったら急にできるようになるわけがないよ…と心配しかありません。


一昨日病院に許可をもらって私から義父に電話し、失礼にならないように一生懸命説得してみたところ、

「ある程度自由があり、予算的に可能なら施設に行ってもいい」

と言ってくれました。義父も、やはり今の状態でずっと家に一人でいるのは無理だと分かってはいたみたいです。


でも、一度は退院して自宅に戻る気満々。

本人が承諾しない限り、退院は中止できません。


私たちが目星をつけたホームは、何百人待ちの特養などとは違って空きがあるのでそんな待たずに入れそうですが、それでもさまざまな調整や手続きがあるので、明日明後日に移るという話ではないでしょう。


ここまでADLが落ちた義父の介護は、やっぱり負担がかかりすぎてできない。でも家に戻りたい義父の気持ちも分かるし、力になりたい。どうしたらいいのか、何が最善なのかもうよく分からない。

でも、何かを犠牲にしないと多分無理だろう。


こんな見切り発車のまま、今日の午後が退院です。

今日は実父と妹に来てもらって、子どもたちの送迎や世話をお願いする予定。本当にありがたい。


これから、どうなるんだろう。

ぐちゃぐちゃになりそう。

不安と、恐怖でしかない。