美咲(みさき:永作博美)は、かつての夫・万作(まんさく:伊原剛志)とよりを戻し、息子・(ゆう)と三人でやり直すことにする。ただ、依然として 希代加(きよか:中森明菜)を母と慕う幼い勇には、自分が本当の母親であることを告げられずにいる。

そんなある日、美咲一家は、友人である 麻巳子圭司(まみこ:白島靖代、けいじ:唐渡亮)の一家と一緒に過ごすため、八ヶ岳の山荘へ家族旅行へと出かけることにする。そして、会社の仕事が終わらない夫・万作は、ひとり後から出発することになる。

 

一方、希代加(中森明菜)は、拘置所に収容されていた。そして、拘置所の中で、ほとんど言葉を発せない状態に陥っていた。拘置所の医師は心因性の朦朧状態と診断する。しかし、それは希代加の詐病だった。希代加は、隙を見て、医師を襲い拘置所を脱走する。

脱走した希代加は、万作(伊原剛志)を見張り、万作の車のトランクに潜り込む。そして八ヶ岳に向かう途中で万作を襲って車を奪い、ひとり山荘へと向かう。

 

希代加(中森明菜)が雪深い山荘にたどり着くと、山荘には美咲(永作博美)との二人だけだった。

表でひとり遊んでいた勇が、希代加を見つけ、ママ!と駆け寄る。希代加と勇は、つかの間の再会を喜ぶ。

やがて希代加は、勇を表に残したまま山荘の中へと入っていく。美咲をナタで脅し、椅子に縛り付ける。そして、どれだけ苦しめても立ち直ってしまう美咲はもう殺すしかない、美咲を殺したあとは勇も殺す、と告げる。希代加は、床に灯油をまき火を放つ。

 

希代加(中森明菜)は、とふたり、燃えさかる山荘をあとにする。手をつなぎ雪原を歩いていく二人。ところが、突然、勇が希代加の手を振りほどき、駆け出していってしまう。

 

山荘では、美咲(永作博美)が火にまかれていた。だが間一髪、夫・万作(伊原剛志)が駆けつけ、危うく難を逃れる。美咲と万作は山荘を飛び出し、希代加(中森明菜)との行方を探す。

 

は古い廃坑の中へと駆け込んでいく。希代加(中森明菜)も勇を追いかけ、廃坑の奥へと進む。希代加がやっと勇を見つけると、勇は希代加に向かって綺麗な水晶の石を差し出すのだった。

勇は、希代加の緊張した表情を見て、なにか悲しい目にあっていると感じていた。そこで希代加を元気づけるために、廃坑にそっと隠しておいた水晶をプレゼントしたのだった。希代加は勇を抱きしめる。

そこへ二人を追ってきた美咲(永作博美)が現れる。美咲は勇を返せと迫るが、希代加は勇を抱きかかえ、後ずさりをする。

そのとき突然、地面が揺れ、廃坑が崩れる。希代加と勇は土砂の中に埋もれてしまう。

 

美咲(永作博美)は、必死に土砂をかきわける。そして、希代加(中森明菜)がに覆いかぶさり守りながら埋まっているのを発見する。美咲は、希代加の体の下から勇を引きずり出す。

無事に助け出された勇だが、依然 木材の下敷きになっている希代加に向かって、ママ!と叫ぶ。美咲は、瀕死の希代加も助けようとする。

だが、希代加は、美咲に向かって、自分は始めから死ぬつもりだった、勇を連れて早く逃げてほしい、と弱々しい声で懇願する。

 

そこへ 丸山(まるやま:的場浩司)が駆けつける。希代加への想いを引きずっていた丸山は、希代加の脱走を知り、居てもたってもいられず追いかけてきたのだった。丸山は、美咲に対し、希代加のことは自分にまかせて早く逃げろ、と叫ぶ。

 

美咲(永作博美)は、を連れ、急いで廃坑から脱出する。

美咲と勇が出た直後、廃坑が激しく崩れ落ちる。勇が、廃坑に向かって、ママ!と叫ぶ。美咲は勇を抱きしめる。

その後、崩れた廃坑からは、希代加(中森明菜)の遺体も丸山(的場浩司)の遺体も発見されなかった。

 

丸山(的場浩司)は、希代加(中森明菜)を抱きかかえ、誰もいない雪原を歩いている。やがて立ち止まり、白い雪の上にそっと希代加の体を横たえる。

まるで眠っているかのような希代加。その手にはの水晶が握りしめられていた・・・。