全く何の前触れも脈絡もなしに、とある楽曲が脳内で勝手に鳴り出すこと、ありませんか。

 ワタシにはあります。

 出張先からの帰り、入りの悪いFM放送(通常聴取エリアを離れているのだから当然ではある)を流しっぱなしにしていたら、突如として脳内に流れたのは「SEVENTH HEAVEN」だった。

 渋滞に巻き込まれつつ試みに口ずさみ、真っ赤ちゃんをつないでSpotifyのマイライブラリをスクロール(←運転はご安全に)。

 真っ赤ちゃんでSEVENTH HEAVEN聴くのもしかしたら初めてかもだなぁと思いつつアルバム10曲めを再生する。

 ノスタルジーにぶん殴られて気が遠くなりながら、渋滞を持ち堪える5月の終わりは雨模様だよ。


 ワタシのBUCK-TICKは1988年末からで、初聴きアルバムは「TABOO」、受験生の1月に友人のツテでなぜか「ROMANESQUE」あたりまで遡り、高校入学までには既発作品はどうにか耳にしていた…はず(いやんかれこれ35年前のことだもの)。


 今でも変わることなく大好きな「CASTLE IN THE AIR」は、初めて聴いたときからお気に入りになったし、家族が寝静まってからこっそり再生していた「…IN HEAVEN…」のMVや、もっとこっそり再生していた「VICTIMS OF LOVE」のMVとか、15歳にはいろんな意味でとんでもなかった。

(「人は14歳の頃に聴いた音楽に生涯を左右される(←ニュアンス)」みたいな格言?言い回し?がありますよね?ワタシ、BUCK-TICKとの出会いは15の頃でして、まぁ何事にも例外はあるし…ってちょっとしょぼんてなるんだけど)


 あの頃あんなにどきどきしたあれやこれやが、もうもうもうぜんぶぜんぶかわいいの。

 そりゃそうよね。

 22とか23とかのおにいちゃんたちなんだもん(アニイが25とかそんなもんでしょ)。

 いやぁ中学生にとっての8歳上ってそりゃもう「絶望的」なほどだったけど(何に絶望していたんだろうね←知ってるクセに…笑)


 今のBUCK-TICKとは遠く隔たっているようで、ちゃんとそこに…1988年リリースのセカンドアルバムに、今につながるBUCK-TICKが息づいていることが、時を経るほどにクリアになって、なんというか「三つ子の魂百まで」だなぁとか「栴檀は双葉より芳し」だなぁなんてことも思ったわけですよ。


 ポップだポップだと言われ倒されたであろうセカンドアルバムのなかに、既にあるんだよ。VICTIMS〜だけじゃないの。

 インストアレンジを一曲めにSE的に提示するとか(当時でさえ「FRAGILE ARTICLE」のかわいい三拍子には度肝抜かれましたっけねぇ。賢ちゃんのアイディアだったってアニイおっしゃってましたね…賢ちゃん…)、ポップなはずなのに不穏な感じがあるとか、声が細いってあっちゃん本人も仰ってたけれどでも当時の歌唱でも「CASTLE IN THE AIR」のサビなんかは低音でばしーっとキメてて、なんというか異空にまでつながる片鱗が見えるよ、とか。

 枠組みとしてはシンプルなのに、歌メロと絡むとぜんぜん簡素な感じじゃなくて、そのスカスカな感じが(褒めてる)いいんだなぁとか。


 BUCK-TICKは、最初っからBUCK-TICKで、何かの真似をしたり他の誰かみたいなかっこよさじゃなくて、洗練とかテクニックとかは発展途上だったとしても、BUCK-TICKとしてカッコよくありたくて、そうやってバンドを磨き上げていったのだな、ということが35年(リリースからは36年か…)経っているからこそ明確に感じられたのでした。


 そう、異空ツアーに於ける「MISTY ZONE」のカッコよさですよ。別人じゃないの。本人のままどんどんカッコよくなっていったから、過去曲が全然恥ずかしくないし、5人の気概と誇りがあるの。…いまだに観られていないんですけどねガーデンシアター円盤。


 2024年のCASTLE IN THE AIRは聴けないんだな、ってことがさ、わかっていても悲しいな…ってね。言い募ったとて詮無いことなんだけれどね。