表の作品・裏の作品 | 九十九次百 つくもつぐもも のぶろぐ

表の作品・裏の作品

5/17(Thu)-6/4(Mon) 増田セバスチャンが見つけた
「もうひとつの内藤ルネ展 -Roots of“カワイイ”- 」 in 渋谷PARCO


2002年に弥生美術館で開催された、内藤ルネの初回顧展は記憶に新しいところですが、
先日「もうひとつの」と題されたの作品展を見に渋谷へ行きました。

今回は、主催者側が意図した展示空間の仕掛けが功を奏し、行きと帰りでは同じものが違って見え、新鮮な体験をしました。

$九十九次百 つくもつぐもも のぶろぐ-20120531

会場へ足を踏み入れると
「おぉ!カワイイ!!」と思わず漏れてしまった第一声。

マスコットキャラクターとも言える垂れ目のパンダから、明るくお洒落で愛らしい少女の絵や人形が所狭しと並べられています。何人もの作家が影響を受けたことでしょう。

入場口から導線をU字に進むと、公の空間から私的な空間へ導かれます。

深紫色の壁に囲まれた空間には一枚の作品が。
渋谷駅から雑踏を通り抜け、ざわついた心に平静さを取り戻します。
作品と鑑賞者が一対一で対峙するその空間は、まるで聖堂の中の告白部屋のような雰囲気。

その左手には
「さぁ自分の意思で扉を開いて道を進んでいきましょう!」
と言わんばかりの扉が一つ。
前へ進むには、他に手段はありません。

一つの儀式のように、その扉を開いて前へ進みます。

眼前に開かれた道には、左右や奥に黄・緑・赤といった色鮮やかな空間が!
おもちゃ箱をひっくり返したかのような不思議な世界。
巻貝のような髪型の女の子、男の子。
あちらこちらの扉を開いて、こんにちは。
まるで被りものをしているかのように、人の顔をしたネコ。
あどけない表情を残した少女に怪しい雰囲気が漂います。

ある扉に僅かな違和感を感じ、扉の取っ手に手をかけて進んだ先には、秘密の部屋が。
壁面に飾られた作品は、一つ一つを両端から蛍光灯の光が照らし、清らか過ぎる雰囲気が増します。
どんな作品が飾られているかは言わずもがな、会場へ足を運んだ人だけの楽しみですね。

ただ、これだけは言えます。
一度この部屋をのぞくと、さっきまでの世界がまた違って見えます。
ホワイトキューブの壁面が、効果的に使われた展示を久しぶりに体感しました!
やっぱり、作品の見せ方も大切ですね。