胎児心拍が確認できず、
子宮内胎児死亡を告知されたあと。

「これで、もう確定ですか」
そう答えるのが精一杯で、
いろんなことが頭の中で洪水のようになって
正直何を考えていたか思い出せません。

「もう一度別の機会を設けて、確認しましょう。
今日はお1人ですか?そうか…
できれば今日、ご主人ともう一度来てもらえませんか?
それで一緒に確認しましょう」

今日はお1人ですか?という言葉を
自分が言われる日が来るとは思わなかった。
ああ私、いま精神面を心配されるくらいの状況なんだと
なぜか冷静に感じました。

この後、結局一度は翌週に予約を取って
帰宅したのですが、
なにをどういう順番で話したか
今でも一生懸命考えても思い出せません。


⚫︎私の話したこと

数日後に資格試験を控えている。
仕事も急に穴を開けられない。

資格試験は年に一度あり、
今年受けられないとすごくまずい
ということはないが…

資格試験も仕事も、命が関わることなら
どうにかはできると思うが…

入院の時に必要なものはなにがあるか
教えてほしい。
何日くらい入院になるのか。
長女もいるからいきなり不在にはできない。

でも決めないといけないですよね、
どうしよう…


⚫︎主治医の話したこと

赤ちゃんは亡くなっているのでほぼ間違いない。
けど、お母さんは自分を責めないでほしい。
お母さんが何かをしたから、しなかったからではない。
後悔するようなことはないし、あなたは悪くない。

亡くなった赤ちゃんがお腹にいると
いつ腹痛や大量出血が起こるかわからない。
普通の生理の3倍血が出るし、
3倍お腹が痛いと思ってほしい。

この週数だと手術ではなく
子宮口を開いてお産で産む処置になる可能性が高く、
短くても4,5日は入院が必要。

医療者の立場から言うと
今日このまま入院してもらって処置を始めたい。
だけど、試験や仕事などの事情もわかる。

今ここですぐには決められないと思う。
来週の朝イチで優先的に予約を入れるので、
その日にご主人と来てほしい。
それまでに出血や我慢できない痛みがあったら
即受診してほしい。



こんなことを話した、と思います。

状況についていこうと頑張っても
受け入れるどころか
実感をもって認識できていませんでした。

主治医が少し言いにくそうに、
「これは、次の妊娠に向けて…になるのかな。
前回の血液検査、頸がん健診の結果です。
どこも異常はありませんでしたよ。
よかったら、身体は大丈夫ということで
お持ち帰りください」
と。

優しい口調と、その言い回しから
赤ちゃんはダメだったんだ…という実感が湧いてきて
「すみません…ありがとうございます」と
涙が出てきました。

「悲しいよね、私も悲しい。何度見ても悲しい。
お母さん、泣いていいんですよ。悲しくて当たり前なんだから」
主治医の言葉で涙が止まらなくなりました。
主治医の目にも涙が浮かんでいたように思います。

「エコー写真、どうしますか?もしほしかったら…」
「最後の記録に、1枚ください」
そう言うので精一杯でした。

そのあと、主治医と助産師さんの配慮で
妊婦さんがたくさんいる待合で待つのもつらいでしょうから…と
個室に案内していただき、
入院の際に必要なものの説明、会計をして
一度帰宅しました。



なにを考えて家に向かったのか、思い出せません。
ただ、何かを食べなきゃと思って
お昼ご飯と美味しそうなあんぱんを2つ
買いました。

本当に、澄み渡った綺麗な空でした。