とある夏の日。
うさぎのチェルシーは、北のふくろうさんから、とても美味しいと聞いていた紅い実を摘みに、お気に入りのバスケットを持って森へ出かけました。
森のくまさんを口ずさみながらどんどんどんどん森の中へ入っていきました。
気づくと少し後ろからくまくんがついてきて、一緒に口ずさんでいました。
「こんにちわ。くまくん。わたしはチェルシー」チェルシーはペコリ首をかしげました。
「チェルシー、こんにちわ。ぼくはチャグー。こんなに暑い中、どこに行くの?」
チェルシーはこう答えました。
「北のふくろうさんから、この森にとても美味しい紅い実があるって聞いたから、摘みに来たのよ?」
チャグーはちょっと困りました。
紅い実は自分しか知らない、秘密の木だと思っていたから。
チェルシーは言いました。
「ねぇチャグー。紅い実のなっているところ、知ってる?」
チャグーはこう答えました。
「知ってるよ。でもすごくすごく遠いよ?」
諦めてくれたらいいなとちょっぴり思いました。
「うわぁ!知ってるの!?すごいなー、案内してー!!」
チェルシーはぴょんぴょん飛んでウキウキです。
「うっ、うん。いいよ。ついておいでよ」チャグーは歩き出しました。
でも、とても困っていました。
紅い実のなる木の丘は、自分だけの秘密の場所だったから。
チャグーは少しゆっくり歩きました。チェルシーはぴょんぴょん飛び跳ねて、少し先に行っては、チャグーのところまで戻ってきます。
少し遠回りをしました。チェルシーがちょっと諦めてくれたらいいな。と思いました。
チェルシーは隣でウキウキでおしゃべりを続けます。
チャグーはうわのそらで話を聞いていました。
長いこと歩いてきたので、チェルシーは少し疲れてしまいました。
「美味しい実を取りに行くのは大変なんだね」チェルシーは言いました。
チャグーはなんて言っていいかわかりませんでした。
「少し休憩しようよ」チェルシーはそう言って、バスケットの中からサンドイッチを取り出しました。
「チャグーもひとつどうぞ」チェルシーはチャグーにサンドイッチをひとつ渡しました。
チャグーは、ぱくりぱくり。ふたくちで食べました。
そしてあまりの美味しさに「おいしーい!」と、チェルシーの顔を見て言いました。
チェルシーは言いました。
「サンドイッチ、いつもひとりで食べているんだけどね、ひとりでも美味しいんだけど、ふたりで食べるともっと美味しいね」
そして「もうひとついかが?」と、バスケットにあった、もうひとつのサンドイッチをチャグーに差し出しました。
チャグーはちょっぴり心が痛みながら、ぱくりぱくり、またふたくちで食べました。
チェルシーはもぐもぐもぐもぐ食べました。
チャグーはチェルシーが食べている間思いました。
『きっと紅い実も一緒に食べたら、きっともっともっと美味しいかもしれない・・・』
「チェルシー、美味しいサンドイッチ、ごちそうさま。紅い実のなる木の丘までは、あともうすぐだよ」
そういって歩き出しました。今度は少し早足で。
そして紅い実のなる木の丘は、たくさんの紅い実をつけてふたりを待っていました。
「こんなに美味しい紅い実ははじめてだよ!チャグー、美味しいね!」
チェルシーは大きくてまんまるの目を、クルクルとさせて言いました。
ひとりじめして食べた時よりもずっとずっとおいしいと、チャグーは思いました。
ふたりは夢中で紅い実を食べました。
そしてチェルシーのバスケットにもたくさんの紅い実を摘みました。
「こんなにたくさんもういいよ」と言うチェルシーに、
「ジャムにすれば冬も食べれるよ」と、どんどんどんどん摘みました。
チェルシーがかごを持ちきれないほど、こぼれんばかりにそれはそれはたくさん。
「赤い鳥小鳥」を口ずさみながら帰った帰り道は、それはそれはあっという間だったのでした。
