虚無感、怒り、絶望。こうした感情を抱え、傷が癒えないまま日々を過ごしている方へ。
自分の過去を振り返り、今の苦しみを「言語化」して原因を突き止めようとする。
それは、自分を取り戻すための正しいプロセスに思えます。
ですが、その分析に自分自身で「決着」をつけてしまった場合、それがあなたを絶望に繋ぎ止める罠になることがあります。
「ロア」という言葉があります。本来は「物語の設定」という意味です。
過去に何が起きたのか、なぜ今の自分があるのか。
それを完璧に説明し、理由を特定できたとしても、それだけで現実が変わるわけではありません。
むしろ、筋の通った言語化を完成させればさせるほど、あなたは「過去の分析」という物語の中に自分を閉じ込めることになります。
あなたはこれまでに、トラウマを専門とする臨床心理士や公認心理師と、適切に話をしたことがありますか。
専門家の手を借りず、自分一人で出した「正当な理由」に納得して思考を止めてしまう。
それは、言語化の作業を重ねているだけで、現状を動かすことには繋がっていません。
回復は、過去を理解することだけではありません。
脳と身体が繰り返す「反応のパターン」から脱却することです。
もし、信頼できる専門家と共に言語化する環境が今ないのであれば、自分一人で分析を続けるのは、しんどくないですか。
「仕方がない」と思えることが、回復への一歩だと言われることもあります。
ですが、一人で出したその結論は、時にあなたを深い虚無感の中に閉じ込めるだけです。
一歩踏み出したつもりが、行き止まりに立っている。
もしあなたが今、そんな感覚に陥っているのなら、その言語化はもう手放すべき時です。
本気で現実を変えたいなら、もう「ロア」を完成させるのは終わりにしてください。
佐々木瞳
