『ドライブ・マイ・カー』のあたたかみ | 月読草子

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月読文世 @ 文章修行中

 

皆さま、こんにちは。


今日の東京は午後から雨模様で、ちょっと肌寒いです。


秋も深まってきましたね🍂

 

 

 

さて、プライムビデオで……


って、「またかよ!」と思われた方、すみません😅


すでにお試し期間は終わったので、今回と次回でおしまいです。


もう少しだけ、お付き合いくださいませ~。

 



今回観たのは、


『ドライブ・マイ・カー インターナショナル版』
(監督:濱口竜介 日本 2021年)


↓借り物
舞台俳優であり演出家の家福(かふく)は、愛する妻の音(おと)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去を抱える寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。悲しみと“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――。

 

 

 


原作は村上春樹氏、とのことですが。


ずいぶん村上臭が薄いな、と感じました。


そこで、『女のいない男たち』に収録されている『ドライブ・マイ・カー』も読んでみました。

 

 


すると、この約50ページの短編を、よく2時間58分の映画に仕上げたな、とビックリ😲


そりゃ、村上臭も薄くなるはずです。

 


原作の主な登場人物は、家福と、亡き妻、その浮気相手、そして若い女性のドライバーのみ。


でも映画では、たくさんの人が登場し、回想シーンもたっぷりで、『ワーニャ伯父さん』の舞台を作りこんでいく様子に、長い時間を使っています。


その舞台も、手話まで織り交ぜた多言語で上演され、スクリーンに訳したセリフが表示されるという、斬新なもの。


それがなかなか面白くて、特に手話の表現のしとやかでせつない動きに、魅せられてしまいました。


そして、私はこれまでチェーホフをはじめとしたロシア文学を、なんとなく敬遠してきたのですが。


断片的ではあったものの、『ワーニャ伯父さん』に興味を抱きました。


手始めに、『ワーニャ伯父さん』から読んでみたくなりました。

 

 


登場人物それぞれが抱く過去と、持って行き場のない思いに寄り添った映画で、2時間58分の長さを感じさせません。


ただ、傷のなめ合い感はあるかな、なんて。


そして、家福の妻に関しては、原作よりかなり情報が多いのですが、なぜか映画のほうが得体の知れなさが強く、ちょっと薄気味悪さを感じてしまいました。

 

 


実は昨日、懐かしい人たちとの集まりがありまして。


その仲間のひとりが少し前に亡くなり、会うまでは、悲しみを倍加させるかも、と少し怖かったのです。


ところが実際に会ってみると、みんなでたくさんの思い出話ができて、笑いあり涙あり。

 

その人の供養にもなったかな、という感覚でした。


久しぶりなので、かなり太った人、頭が薄くなった人、などいろいろで。


不食の私も、ずいぶん痩せたな、と思われたことでしょう。


でも、お互いにきっとそんなことを感じつつも、そのことには誰も触れず、本来の私たちでたくさんの話ができたことが、とても嬉しかったのです。


そして私は、原作の『ドライブ・マイ・カー』に、それに似たあたたかみを感じたのでした。

 


と言いつつも、決して映画がよくなかったわけではなく、迷っているならぜひ観てみて!とおすすめしたいです。


『ワーニャ伯父さん』の舞台のシーンも、とってもよかったですヨ😊