大きな声で笑ってはしゃぐことも無ければ
声を荒げて怒ったこともありません。
仕事ぶりも真面目で、お酒もギャンブルも嗜みません。
お見合い結婚ではありますが
妻であるわたしを深く愛してくれています。
わたしと出会う前に、女性と付き合ったことも無かったそうです。
わたしの方は、主人に出会う前は
それなりに恋愛を楽しんできました。
主人は過去のことを一切聞かないので
話したことはありません。
恋のはじまりは、どこか乱暴です。
自分の一部が揺さぶられて
持っていかれるような感覚に陥ります。
主人とは結婚前に数ヶ月ほどお付き合いをしましたが
感情が豊かになって、些細なことで
一喜一憂するようなことは何もありませんでした。
お見合いの席で出会って
１週間後に、二人で食事
３ヶ月後には婚約
５ヶ月後には入籍
７ヶ月後には結婚式
全ては粛々と進んで行きました。
もちろん、幸せいっぱいでした。
主人への感謝の気持ちに溢れていました。
でも「ときめき」はありません。
主人とは初めから「家族」でした。
ドラえもんとのび太くんのような関係です。
お互いのことが大好きで、必要としていて
これからもずっと一緒にいようね
一番の仲良しでいようね
そう口に出して、約束できる関係です。
わたしには合っています。
これまでの恋人たちのように
嫉妬したり喧嘩したりして
心身ともに疲弊することもなく
穏やかな毎日を過ごせています。
結婚したのが、主人で良かった。
心からそう思います。
しかし、二人だけ幸せではいけないのです。
夫婦としての将来を考えなければいけないのです。
ドラえもんとのび太くんが
小学五年生の時をループするように
このままでいられたら良いのに。