②生命保険の基礎-受取人は誰でもいいの? 事実婚・同性パートナーを指定できるか- | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

前回から
生命保険
をテーマに
書いています。
 

前回は
  • 生命保険契約に登場する人物
    (保険契約者、被保険者、受取人)
     
  • 生命保険契約が成立する時期
    (責任遡及条項)
について書きました。
 

 

 

 


生命保険の受取人は
誰でもいいの?

 


受取人は
誰でも好きに指定できる
わけではありません。
 

保険法の中には
受取人を誰にするか
に関する規定はありませんが
保険会社各社が
受取人を限定しています。
 

どのように限定しているかは
各社それぞれですが
各社HPを見ると
  • 戸籍上の配偶者
     
  • 二親等内の血族

を原則としているところが
多いようです。


生命保険は
亡くなった方の家族の暮らしを守る
という意味あいがありますし
保険金殺人等、犯罪を防ぐためにも
受取人は限定されているのです。
 



 

「親族」と「血族」の違い

 


民法では(725条)
親族の範囲を
次のとおり定めています。

 

・六親等の血族
・配偶者
・三親等の姻族(いんぞく)

 


血族とは
→ 血縁関係で生じる関係性
(自分の親や子、兄弟姉妹
 実親子のみならず、養親子含む)


姻族(いんぞく)とは
→ 婚姻関係で生じる関係性
(自分の配偶者の親や兄弟姉妹
 自分の血族の配偶者)


受取人は、原則
  • 戸籍上の配偶者
  • 二親等内の「血族」
としている保険会社が
多いようです。

つまり
「姻族」は、原則、
指定の範囲外
となっていることが多い
ということです。

 

 

 

受取人は二親等か三親等か

 


これも保険会社によって
まちまちの様子。
 
保険会社によっては
受取人は三親等内
と広いところもあります。


二親等とは
  • 祖父
  • 父母
  • 兄弟姉妹
など。

甥姪は三親等。


甥姪を生命保険金受取人に
指定したい場合
 
受取人を広くOKとしている
保険会社を選ぶか
あるいは
個別事情によって
二親等内の血族以外の親族を
受取人とすることも可能
としている保険会社に
問い合わせて相談となります。

 

 

事実婚・同性パートナーを
受取人とすることは?



受取人を配偶者とする場合
戸籍上の配偶者
であることが原則です。


事実婚・同性パートナーは
戸籍によって
身分を証明できません。


生命保険に入って将来に備えたい
というニーズは
戸籍上のパートナーであれ
事実婚であれ
同性パートナーであれ同じ。

 
事実婚・同性パートナーを
受取人に指定することに関して
保険会社各社のHPを見ますと
可能となっている保険会社が
多い印象です。
 

特に、同性パートナーに関しては
渋谷区と世田谷区が
同性パートナーシップ制度
を2015年に始めてから
各社の対応が変わりました。
 
 
同性パートナーシップ制度とは
自治体が同性カップルについて
異性間の婚姻関係と
異ならない関係にあることを認め
証明書を発行する制度です。
 
同性パートナーシップ制度
を導入している自治体は
2023年6月28日時点で328自治体
(人口カバー率70.9%)
だそうです。
 

 

宮城県内
同性パートナーシップ制度
を導入している自治体は
いまだ皆無。のはず。
 
仙台市は2024年度中に導入する方針
と、昨年、報道されていました。
 
今後、宮城県内、広がるか?
 
以下、いくつかの保険会社HPの記載
抜粋したものを載せます。


ライフネット生命
(事実婚)
死亡保険金の受取人に
事実婚のパートナーを指定できます。

(同性パートナー)
2015年11月4日から、
同居期間など一定の条件のもと
同性のパートナーを
死亡保険金の受取人に
指定いただくことが
可能となりました。
 
2015年11月って
渋谷区と世田谷区で
パートナーシップ制度が
スタートした月です。
さすがです、ライフネット生命。
 
 

プルデンシャル生命

(2016年)2月1日から、
死亡保険金受取人の指定範囲を拡大し、

新たに同性パートナーを

受取人に指定可能とする

取り扱いを開始します。


アクサダイレクト

2022年12月22日より、

死亡保険金等受取人および

指定代理請求人の指定範囲を拡大し、

事実婚および同性のパートナーを

お申込み時にご指定いただける

取扱いを開始いたしました。

 



 

 

契約のしやすさは
まちまちかと思います。


同性パートナーを受取人とする場合
「パートナーシップ証明書」

の提出を求める保険会社もあれば
(全国の自治体が

 証明書を発行している

 わけではないので
 制度がない自治体に

 住んでいる人は

 契約できないですね)

 

証明書があれば

より簡易に手続きできるが
なくてもOK

という保険会社もあります。

 

 

また
同居期間を1年以上

とする保険会社もあれば
同居期間3年以上

とする保険会社もいますし
保険金額に上限を設定される

こともあるようです。
 

個別に確認相談するしか

ないようです。

 

 

 

 

本日はここまでとしまして

次回は

 

・受取人が先に死亡したら?

・受取人の変更するには?

 

を予定しています。

 

 
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