不動産の価格はどうやって調べるの❓-公示価格、路線価、固定資産税評価額の違い- | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

弁護士業務を行っていると
不動産の価格
が争点になることがあります。
 
 

 
 
たとえば。
 

遺産分割で遺産の中に
不動産があるとき。

相続人の1人が不動産を
取得するのであれば
その不動産の価格を決めないと
ほかの相続人の取得額が
決められません。
 
 
 
 

離婚で財産分与対象財産に
不動産があるとき。

離婚にあたり売却しないのであれば
夫婦どちらかが取得する
ことになりますが
その不動産の価格を決めないと
最終的な財産分与額が
決められません。
 


最近、相続や離婚の相談者から
 
不動産の価格って
どうやって考えたら
よいのですか?
 
固定資産税評価額と路線価
何が違うんですか?
 

といった質問が
立て続けにありましたので
整理してみたいと思いました。



不動産の価格に関しては
  • 公示価格
 
  • 路線価
 
  • 固定資産税評価額

がありますので
見ていきましょう。
 


公示価格

 


公示価格には
  • 公示地価
  • 基準地価
があります。
 

公示地価
 
国交省が調査し毎年3月に公表
全国2万6000カ所にある標準地の
1月1日時点での1㎡あたりの価格
 
 
 

基準地価

都道府県が調査し毎年9月に公表
全国約2万カ所の基準地の
7月1日時点での1㎡あたりの価格



いずれも国交省HPで確認できます。
 
 
このHPでは
公示地価・基準地価について
次のとおり説明しています。
 
 
売り手、買い手の双方に
売り急ぎ、買い進み等の
特殊な事情がない取引において
成立すると認められる価格
(正常な価格)
示すものです
 
 
つまり、時価
(実際の不動産取引
における売買価格)
に近い額と言えます。


ただし
 
土地の価格は、...
同一の近隣地域に所在
するものであっても
地積、形状、
接面道路の状況等
個別の価格を形成する
要因の違いに応じて異なる
ものです。
...このため、
実際の土地取引について
地価公示価格等を
利用する際は、
価格と共に公示されている
諸事情をも十分参考として
要因を比較し、
価格を算定する
必要があります。

という説明書きもあります。


不動産はそれぞれ個性があり
各種要因によって
価格に変動生じるので
その点を考慮しましょう
という意味ですね。

 

 

 

なお実際の取引価格も
国交省のHPに載っています。
 

 


路線価

 


国税庁毎年7月に公表
道路に面する標準的な宅地の
1㎡あたりの価格のこと
 
 
路線価は
相続税計算
に使用される価格です。


国税庁HPで確認できます。
 

住宅地図のような地図の道路上に
1㎡あたりの価格が記載されています。
 
これを
路線価図
と言います。
 
 
 
 
路線価が定められていない
地域もありますが
そのような地域には
評価倍率表
があります。

評価倍率表には
固定資産税評価額の
何倍とするか
倍率が定めてあります。
 

たとえば
仙台市青葉区赤坂には
路線価図はありませんが
宅地は固定資産税評価額に
1.5倍を掛ける
となっています。


 
 
 


固定資産税評価額

 


市町村固定資産税を課税する
ための評価額です。
 

これまで説明してきた
  • 公示価格
  • 路線価
は土地を対象とするものですが
固定資産税評価額は
土地建物が対象です。


不動産所有者には
不動産所在地の市役所から
毎年4月頃に
固定資産税納税通知書
が送られてきます。
 

納税通知書には
課税明細書がついていて
その年の固定資産税額のほか
固定資産税評価額
が載っています。
 

なお課税明細書には
固定資産税課税標準額
という数字も載っています。

住宅用地などは
固定資産税の課税において
軽減措置を受けることができますが
固定資産税の税率を掛ける金額を
課税標準額と言い
評価額とは異なるものです。
 
 
固定資産税評価額は
公示価格や路線価と異なり
公に発表されているものではありません。
 
 
納税通知書を紛失した場合は
役所で固定資産税評価証明書
申請取得することができます。
 
ただ、取得できるのは
所有者や所有者の相続人
その他正当な理由がある人に
限られます。
 
 


 

まとめ

 


以上、土地の価格については

複数の数字を説明しましたが

それぞれ目的が異なります。

 

高い方から並べれば

 

 

公示価格

>路線価
>固定資産税評価額
 

という並びになります。
 

路線価は公示価格の80%程度
 
固定資産税評価額は
公示価格の70%程度

として評価されています。


それじゃあ
固定資産税評価額を0.7で割れば
時価額になるか?
 
というと
そうとは限りません。
 

現実には
固定資産税評価額を
下回る価格でも
取引が難しいものもありますし。
固定資産税評価額を
相当上回る価格で
取引されるものもありますし。
 
 
 
 
 
そこで、
不動産価格が争点となる紛争では
簡易査定をしていただける
不動産仲介業者の方がいますので
簡易査定を依頼しています。

餅は餅屋。

実際に取引に関わっている方に
教えていただくのが確実です。

 
そして、公示価格、路線価
固定資産税評価額、簡易査定額
こういった数字を見つつ
現況を見つつ
落ち着きどころはどこだろうか?
と考えます。
 
 

厳密にやるのであれば
費用はかかりますが
不動産鑑定をやることになるでしょう。
 
 
高額な不動産など
費用がかかっても
不動産鑑定を行う必要性がある
ケースもあると思います。
 
 
しかし、紛争事は
できる限り早く終わらせることにも
メリットがあります。
 
上記に挙げた数字を
参考にしながら協議を続け
合意可能な射程範囲内に入ったとき
柔軟に考えていくことも
必要だと思います。
 
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