【読書の時間】医療者が語る答えなき世界-「いのちの守り人」の人類学(磯野真穂 著) | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

著者の磯野真穂さんは
人類学者です。
 
以前は大学に所属していましたが
2020年に独立なさったそうです。
 
 

 

 
 
 
さて、磯野さんは
医療現場を研究フィールド
としています。


医療を人類学でどう扱うの?

不思議な感じしませんか。

私も、よく分からないな~と思いつつ
分類はどうでもよくって
ただ、磯野さんの紡ぎ出す文章に
心が動くので読んでいます。
 


磯野さんの著書は、これまで

 

 

ダイエット幻想
やせること、愛されること(2019年)

 

急に具合が悪くなる
(哲学者宮野真生子さんとの往復書簡)
(2019年)

 

 
この2冊読みました。


今回、ご紹介する
 
「医療者が語る答えなき世界」
 
 
購入したのは、ほかの2冊と
ほぼ同時だったと思うのですが
この本だけは数年積読状態でした。


というのは、冒頭出てくる話が
高齢者の介護や身体拘束が
テーマなのです。
 

2019年頃は、この本を読む気に
なれませんでした。
私の母が体調を崩したのが2018年。
そのことが結構影響していると思います。


仕事では権利侵害の話を聞きますし
医療や介護に関する本も
あれこれ読んでますが
母が体調崩してから
 
介護って何なんだろうな?
尊厳って何なんだろうな?

そんな問いが頭から離れず
そういうことに関わる本を
プライベートの時間にまで
読む気になれませんでした。


今年に入って
私自身の心境に変化があったようで
ふと、この本の存在を思い出し
手に取ったのでした。


積読、連れには渋い顔されますが
読むべき時期が来たら
読むのですよ😤
 
 


 

この本には
医療関係者、介護専門職からの
インタビューに基づき
8つの物語が紹介されています。
 

・高齢者の介護の現場
・高齢者の身体拘束
・新薬のこと
・漢方のこと
・理学療法士の物語
・言語聴覚士の物語
など。
 
 
 
医療をテーマにする書籍は

・医療者が書いたもの
・当事者(患者や患者の親族)
 が書いたもの
・ジャーナリストが書いたもの

いろんな種類がありますが
書かれた目的も違えば
筆致も違います。


磯野さんの筆致は私にとっては
とても優しく感じられますし
人類学者としての視点も
興味深いものがあります。
 
そして、この本で紹介されている
物語を読んでいると
様々な感情が湧いてきます。
 

 
 

 

医療介護は

 

直接体に触れることも含め
相手に対する侵襲性がある
現場だと思います。
 
 
また
 
長期的なものになる場合があること
生死へ直結すること
密室性があること
プライバシーをさらけ出すこと
 
そういった
人の尊厳に触れるものだからこそ
自らの体験に重ね合わせて
感情が動くのだろうと思います。
 
 

本書エピローグから引用します
(219~220頁)。
 
ここで私は8つの医療者の物語を紹介した。
その理由は、ある専門職の一般的なあり方や
考え方を紹介するためでも、
ある専門職の模範的なあり方を示すためでもない。
・・・読者のこれまでの人生と何らかの形で
共鳴することを願ってこの本を書いた。
医療者でない読者は、自分のこれまでの医療体験を
思い出させる物語が少なくとも1回は
あったのではないかと思う、
・・・その時、一緒に出てきた感情は
どのようなものであったかと。
それは、喜びだろうか、驚きだろうか、感動だろうか、
それとも激しい怒り、違和感、あるいは嫌悪感だろうか。
・・・あなたはなぜそのような感情を持ったのかと。
 
 
本の具体的な内容については
あまり紹介できていませんが
興味持たれた方は

手に取ってみてください。

 
 
私は
 
「急に具合が悪くなる」
 
を改めて読みたくなりました。
 
 
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