①旧統一教会被害者救済について -消費者契約法改正- | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

現在、旧統一教会の被害者救済に関する報道を

目にしない日はないように感じます。

 

12月6日から衆議院で審議入りする予定とのことですが

今回、審議入りするのは

 

・消費者契約法の改正

・国民生活センター法の改正

・新法の制定

 

の3つです。

 

このうち、今回は

消費者契約法の改正を取り上げます。

 


 

 

  消費者契約法について

 

 

消費者契約法は

2001年(平成13年)4月1日に施行された法律です。

 

 

契約に関しては、民法という基本法がありますが

民法は、契約当事者が対等であることを前提としています。

 

しかし、力関係が対等ではないことは往々にしてあることで

そのため、立場の弱い側を保護する法律が様々作られています。

 

たとえば、お金の貸し借りの場面では

どうしたって貸す側が立場が強く

規制をしなければ利息が青天井になってしまいます。

そこで、利息制限法、出資法という法律で

利息の上限を定めています。

 

労働の場面では、使用者側が立場が強いことから

労働基準法、労働組合法、労働契約法などで

労働者の権利を守っているのです。

 

消費者契約法は、消費者が事業者と契約するとき

交渉力や情報量に格差があることから

消費者の権利を守るために作られました。

 

 

施行後、消費者団体訴訟制度が導入されるなど

何度か大きな改正がありましたが

2019年6月15日施行された改正では

霊感商法を含め、

契約取消ができる類型が追加されました。

 

 

 

 

  2019年改正(取消対象の拡大)

 

 

1 不安をあおる告知(4条3項3号)

 

社会生活上の経験が乏しいことから

就職、結婚、容姿などに

過大な不安を抱いている消費者に対し

事業者がその不安をあおって

裏付けもないのに

願望実現には契約が必要と告げ

消費者が合理的な判断ができなくなり

契約締結した、という場面です。

 

就活や婚活、ダイエットでの商品・サービス販売

が想定されます。

 

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)

第四条

3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。


三 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、次に掲げる事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。

 

イ 進学、就職、結婚、生計その他の社会生活上の重要な事項

ロ 容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項

 

2 恋愛感情等に乗じた

人間関係の濫用(4条3項4号)

 

社会生活上の経験が乏しいことから

勧誘の相手に対して恋愛感情等好意を抱き

勧誘者も自分に同様の感情を抱いていると

誤信している消費者に対して

事業者が、関係維持するには契約が必要と告げ

消費者が合理的な判断ができなくなり

契約締結した、という場面です。

 

いわゆる、恋人商法ですね。

 

あと、高齢の方が、販売の若い勧誘者が

超親切にしてくれて孫のようだと好意を抱き

その関係性を続けるために

大量に物を購入することがありますが

そういった「親切商法」も含みます。

 

四 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

 


 

3 加齢等により判断力が

低下した人の不安をあおる(4条3項5号)

 

 

加齢や心身の故障により判断力が著しく低下していて

生活の維持に過大な不安を抱えている消費者に

契約しないと今の生活の維持が困難になると告げ

消費者が合理的な判断ができなくなり

契約した、という場面です。

 

五 当該消費者が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。

 

4 霊感商法(4条3項6号)

 

霊感その他合理的に実証することが

困難な特別な能力による知見として

そのままでは消費者に重大な不利益を与える事態が

生じると告げ不安をあおり

消費者が合理的な判断ができなくなり

契約した、という場面です。

 

六 当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。

 

 

 

さて、今回の消費者契約法改正は

霊感商法に関する4条3項6号なのですが

どのような改正が予定されているか。

については次回。

 
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