相続に関わる法改正その1 相続登記の義務化(2024年4月1日~) | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

相続に関する相談で
 
曾祖父所有名義の不動産が見つかりました。
どうしたらいいでしょう?
 
といった話を聞くことがあります。
 

また、仕事柄、不動産登記簿謄本をよく目にしますが、
所有者が「○○衛門」というような
最近ではなかなか耳にしないような
名前で
いったい、いつの時代の人か?
と思ったこともあります。


不動産は登記制度により
所有者の氏名住所などが公表されていますが、
この世の中、所有者名義人が
亡くなった人のまま
になっている不動産があります。



かく言う私も、父所有の不動産を
父が亡くなってから7年間、
相続登記せず放置していました。

母が相続しましたが
相続登記手続き、面倒くさくって
自分でやる気は起きない。
費用かけて司法書士に頼む気もない。

誰も住む人がいなくなって
売るときでいいや、と思って放置。

固定資産税支払っておけば
市役所は何も言わないし。
 

 

これが、不動産登記法改正により
相続登記の申請が義務化がされました。
 
 
新設された条文を引用しますと

 

自己のために相続の開始があったことを知り、
かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、
所有権の移転の登記を申請しなければならない。

と規定されています。
 
 
2024年(令和6年)4月1日施行‼
施行日前に発生した相続も対象‼
 
正当な理由のない申請漏れには
10万円以下の過料に処す
との罰則規定もあります。
 

なお、この登記申請は、
現在行われている相続登記申請とは異なる
簡易な手続きが設けられています。
 
義務化にあわせて、
実際に申告してもらうために
簡易な手続きを新設したのですね。
 
 

 

なぜ、このような法改正が

なされたのでしょうか?
 
これは
所有者不明土地問題
に関わる改正です。

国交省が平成28年度に
約62万筆の土地について
調査を行っていますが
登記簿のみでは所有者の所在不明土地が
20.1%ありました。
 

所在不明となっている原因は
  • 相続登記の未了が66.7%、
  • 住所変更の未登記が32.4%
という結果でした。
 
 
 

相続登記がなされず
放置されている理由は
いろいろあると思います。
 
  • 名義変更せずとも特段支障がない(上記した私のケース)

 

  • 遺産分割に時間がかかっている

 

  • 相続人にとって、いらない不動産なので放置されている

 

  • 不動産の存在を相続人が気付いていない

 

  • 相続人が相続放棄し、相続人不存在になってしまった
など。
 

しかし、所有者名義が
亡くなった人のままで
所有者不明土地が増加すると
所有者と連絡が取りたい
という状況になったときに
探すのに非常に手間がかかる、
管理が放置されて
近隣への悪影響が出る
という問題が生じます。

この所有者不明土地問題解決のため、
今回、不動産登記法や民法改正、
相続土地国庫帰属法の制定がされた
という経緯です。


次回も引き続き、
相続にからむ法改正について
ご紹介したいと思います。
 
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