中平卓馬さんの訃報によせて--芸術家という人種 | 月見記

中平卓馬さんの訃報によせて--芸術家という人種

写真家の中平卓馬さんが亡くなりました。
それほど作品を知っている訳ではないのですが、
横浜美術館で回顧展が開かれるほどのカメラマンでした。

実は、お住まいがたぶん近所で、
というのも場所は知らないのですが、
数年前まで、毎日、毎日、肩からぶらんと一眼レフをぶら下げて、
着古した赤いジャンパーに赤い野球帽姿で
ママチャリをギキギコこいで
撮影に出かけていく中平さんとすれ違っていたのです。
知らない人が見たらかなり怪しいおじいさんで、
警察に職質を受けていたこともありました。

でも、その姿を見るたびに、
本物の芸術家というのは、こういうふうに
毎日、毎日、創作をしなくては生きていけない人間なのだなと、
生き方というか、人間としての在り方の凄みを感じさせられました。
ポケットに何か入っている様子もなかったので、
1日に1ロールもシャッターを押さなかったのでしょう。
それでも、半年に一回くらい朝日新聞に掲載された写真は、
その辺にあるふつうの町の一部なのに、
なんともいかしてしました。

数ではなくて、眼で勝負できるすごいカメラマンだったのでしょう。

心よりご冥福をお祈りします。 合掌。

http://www.47news.jp/CN/201509/CN2015090401001870.html