1. 請求の要旨
一 北区立桐ヶ丘やまぶき荘大規模改修工事のうち、空気調和設備工事に係る請負契約について、工事金額が相場に比べ著しく高額であり、過大工事が行われた疑いがある。
二 具体的には、令和7年12月1日に締結された「北区立桐ヶ丘やまぶき荘大規模改修工事請負契約 空気調和設備工事」(契約相手方 アネス株式会社、契約金額 金6億8,200万円、落札率99.98%)は、同種工事の一般的な相場と比較して約10倍という極めて高い水準であり、北区にとって違法又は不当な財務会計行為に当たると考える。
三 このような過大な契約金額により、適正な相場水準と比べて少なくとも数億円規模の損害が北区に生じているか、又は生じるおそれがある。
違法又は不当と考える理由
一 相場との著しい乖離 本件空気調和設備工事の契約金額6億8,200万円は、特別養護老人ホーム規模の施設における同種空気調和設備改修工事の一般的な工事費相場の約10倍に達している。別紙事実証明書として添付する他自治体の特別養護老人ホーム大規模改修工事の契約書、積算資料等と比較しても、本件工事費は著しく高額であり、合理的な説明がつかない。
二 落札率の異常な高さ 本件契約の落札率は99.98%と、予定価格にほぼ一致する異常に高い水準である。通常、適正な競争入札が行われている場合には、予定価格に対して一定程度の乖離が見られるのが一般的であるのに対し、これほど高い落札率は予定価格の設定自体が過大であったか、又は実質的な競争が働いていなかった可能性を示している。
三 予定価格および積算の妥当性への疑義 本件工事の予定価格は、相場の約10倍の金額となるよう設定されており、その積算根拠は極めて不透明である。情報公開請求により入手した設計書、内訳書、積算資料等を検討しても、なぜこのような高額な予定価格となったのか、合理的な説明がつかない。これは、最少の経費で最大の効果を挙げるべきとする地方自治法第2条第14項の趣旨に反する。
四 財務会計行為としての違法・不当性 相場から大きく乖離した過大な予定価格を設定し、その99.98%という高率で落札した本件空気調和設備工事の請負契約を締結し、支出を行うことは、地方自治法第242条にいう違法又は不当な財務会計行為に該当すると考える。
北区に生じている損害の内容
一 特別養護老人ホーム規模の空気調和設備改修工事における一般的な相場を基に試算すると、本件工事の適正な金額はおおむね金6,800万円程度と見込まれる。これに対し、本件契約金額は金6億8,200万円であり、その差額である金6億1,400万円が北区における過大支出であると考える。
二 また、このような過大な予定価格の設定と高落札率の契約が前例となり、今後の区立施設改修工事においても同様の手法が踏襲されれば、北区財政に継続的かつ多額の損害が生じるおそれがある。 請求する措置の内容 本件「北区立桐ヶ丘やまぶき荘大規模改修工事請負契約 空気調和設備工事」について、予定価格の設定、設計積算、入札・契約手続、工事内容および支出の妥当性に関する監査を実施すること。 二 監査の結果、過大な予定価格設定や不当な契約金額により北区に損害が生じていると認められた場合には、契約金額の見直し・減額変更、請負業者への損害賠償請求等、損害の回復を図るために必要な措置を講ずること。
三 今後の北区における工事契約に際しては、予定価格および積算根拠の適正化、競争性の確保、落札率が異常に高い案件に対するチェック体制の強化など、再発防止策を講ずること。