北区は、3施設の区立特別養護老人ホームに大規模改修工事を実施しています。建築後25年経ていますので、大規模改修工事自体はいいのですが、問題は、この改修工事費の金額です。2022年から始まった2施設の改修工事に60億円の費用が掛かっています。一つの特養に30~40億円です。この工事の期間は、おおよそ1年間であり、空調工事、建築工事、電気工事、配管工事、エレベーター工事どれも数億円単位で施行しています。落札した業者は、区内の限られた数社であります。特にある空調配管事業者は、3施設全て落札しており、北区はJVも含めて合計30億円以上が支払われます。区は、9千万円以上の工事には、入札予定価格を公開しているとのことで落札率は、99.9%になります。清水坂あじさい荘の給排水工事の税込み入札予定価格は5億8,748万8千円、落札価格も5億8,748万8千円でした。落札率100%です。清水坂あじさい荘の空気調和設備工事の落札率は98%、桐ケ丘やまぶき荘の空気調和設備工事の税込予定価格6億8,207万円7千円、落札価格は6億8,200万円です。入札参加企業は、区内配管空調建築業者3社がほとんどであります。

 

埼玉県の令和6年度の民間特養16施設の年間平均大規模改修費は1.5億円です。昨年秋に定員110人の民間特養の建築工事費は17億円です。一方、昨年度に終了した清水坂あじさい荘の改修費は32億円でした。区が事業委託している社会福祉法人に支払った保険料減額補填を合わせると39億円になります。工事内訳は、設計費6千万円、建築工事費10億円、電気設備工事費に6.4億円、空調工事費に7.2億円、給排水衛生工事費設備費に6億円、エレベーター工事費に1.6億円です。同規模の中野区立S特別養護老人ホームの空調工事費の落札額は約6千万円でした。建築年数も規模も同じ区立特養なのに10倍以上の金額の開きあります。これほど差があると、東京都の基準建築費や人件費の高騰では説明がつかないです。

 

空調工事7.2億円の内訳は、GHP空調機141台新設、遠赤外線ヒーター新設。各種配管及びダクト新設など、換気扇256台交換、自動抑制設備工事、撤去工事などです。

電気工事6.4億円の内訳は、室内蛍光灯を全て交換、発電機オーバーホール、太陽光発電機新設、動力盤交換、電灯コンセント交換、電話や防犯カメラなど交換、自動火災報知機交換、避雷針の交換などです。

 

給排水工事6億円の内訳は、受水槽、ポンプの交換、マンホールトイレ新設、給水機の交換、消火器の交換、雨水濾過器新設、ガス工事、防火井戸新設などです。

 

あじさい荘の空調、電気、給排水改修工事費だけで約20億円です。なぜ、配管やダクトも含めて、使えるものを全取り換えするのか理解が出来ません。SDGSの考えにも反しています。

 

北区の投資的経費は平均年間約170億円、維持修繕費は年間平均11億円です。それにかかわらず、区立3特養改修費だけ100億円も使っています。

 

公金100億円は、本来、使うべき、北区民の福祉や介護には使われていません。ほとんどが区内にある建設、配管、空調工事業者に流れています。なぜ、このようなことが決定されたのか謎です。しかも、この100億円のほとんどは起債、特別区債をしており、区民の借金になっています。

 

医療福祉研究協会の「社会福祉法人における事業継続に必要な建設費と大規模修繕に関する調査研究」によると、築年数が40年を超えた施設では、坪あたり21万円の改修費が平均です。実際、坪あたり30万円を超えることはありません。しかし清水坂あじさい荘は、建物延べ面積が約2,820坪、大規模改修費約39億円で計算すると、坪あたり140万円、一般的な改修費の4~5倍になります。建築着工統計調査(国交省)によると、2024年、東京都の鉄骨造の福祉介護施設の新築建築費水準は、坪当たり130万円です。新築より改修費の方が高くなることは常識的にあり得ません。仮に9億円程度で改修できる工事を39億円使うということは、30億円の区民の税金が棄損していることになります。証拠はありませんが、私は、区立3特養大規模改修工事費100億円の7割が水増し工事の疑いがあると考えています。

 

あじさい荘の工事期間中にインフレスライド条項を適用するということで、工事わずか半年後に約10%の2.2億円が総額しています。この2.2億円は区長の専決決済ですぐに変更契約しました。増額した2.2億円の積算根拠が不明です。内訳をみると、給排水工事は配管の撤去・追加で1,300万円、建築、電気は5,000万円、空調は約1億円を一斉に増額しています。インフレスライド条項の計算式があるようですが、工事業者の言い値で、安易に10%を増額しているとしか推測できません。現場の従業員の給与に増額された分は、渡っているのでしょうか。

 

私は、どうして改修工事が高額になったのかを知るため、条例で定められている情報開示請求を何度も申請しました。ところが渡された資料、数百ページ全て黒塗り、非公開でした。理由は、「積算単位が知れると工事予定価格が容易に推測されて、契約事務に支障を生ずるおそれのある」とのことでした。工事価格に疑問や不正の疑いがあるのであれば、区は開示しなければなりません。説明責任は区にあります。

区立特養改修に使った100億円があれば、老朽した橋や道路、水道管の修繕、保育園などの改修、新しい特養の開設、介護職員の処遇改善や人材確保、介護施設や民間事業者の経営支援、訪問介護の報酬のアップ、介護保険料の減額など、様々なことに使えました。この税金100億円は、一部の工事事業者の不正や、団体理事長の天下り退職金などに使われることは絶対にあってはなりません。今後、地方自治法による住民監査や住民訴訟など調査追求の必要があると考えます。