人気絵本作家の塚本やすしさんは、「おでんしゃ」や「このすしなあに」などの絵本のほか、本の挿絵や装丁も手掛けるなど、幅広いジャンルで活躍されています。最近では、 各地で絵本の読み聞かせイベントもしているという塚本さんにインタビューしてきました。
プロフィール 1965年生まれ。東京都に生まれ、幼少の頃より独学で絵を学び、路上でもチラシの裏でも襖でもなんでもかんでも絵を描きまくる。玄光社ザ・チョイスで、長新太 さんや吉田カツさんの審査で入選し褒められる。このとき、絵描きとして生きることを決める。
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絵本作家になったきっかけは ?
グラフィックデザイナーとして 30 歳ぐらいまで会社員していました。その後、コンペに入賞し、会社ではなく個人として仕事の依頼がくるようになって独立。小説の挿絵、 装丁などを主に手掛け、起ち上げた会社も順調でした。40 代になり、やりたいことをしようと考えたとき、昔あるコンペで審査員だった長 新太さんに評価してもらった ことを思いだし、絵本を改めて描きたいと...。
絵本の企画を出版社に持ち込んで、また別の企画を持ち込んで...まさに 0 からの出発でしたね。そんなとき「このすしなあに」の企画を持ち込んで、ポプラ社さんから 出版することに。
-------------- 絵本作りのこだわりは?
様々な本を装丁してきた経験から、「このすしなあに」も、いろいろデザインにこだわりました。絵本の黒い帯部分は、海苔のような紙質にしています。表紙カバーを外 して広げると、お寿司屋さんのカウンターに...。本を開いたところに描かれた魚や鮨の絵は、あえて子どもが描いたようなタッチに。
また、「おでんしゃ」は、コンビニのおでんからひらめいたんです。おでんに子どもが好きな車をくっつけて、おでんとでんしゃで「おでんしゃ」。おでんの具が、列車に乗り、 沖縄から北海道まで旅するおはなし。地域毎の名産も登場します。
----------------------- 絵本の読み聞かせイベントを各地でされていますが...。
「むらをすくったかえる」という絵本で、サトシンさんと一緒に、読み聞かせイベントをしたのがきっかけです。作っておしまいではなく、「自分の作品は自分で売りましょ う」というサトシンさんの影響を受け、いろんな地域を回っています。
読み聞かせイベントでは、子ども達には「このすしなあに」が一番受けますね。
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最後にマーメイド読者へメッセージをお願いします。
子育ては、夜泣き等で夜中に起こされたり、かなり大変だと思いますができればイライラして怒らないでください。僕が子どものときを振り返ると、親がイライラし ているのってわかっちゃう。実は、おねしょを小 6 までしていた。おねしょするたび、親に怒られて...。あるときから親が怒らなくなったら、パタッとおねしょもしな くなりました。そんな実体験があって、親の子育て方法ってすごく大切だと感じています。 また、絵で表現するのが好きすぎて、道路にまでチョークで描いてるような子どもでした。
将来はマンガ家か絵の仕事と漠然と思っていました。
文章で表現するのが得意な子、絵で表現するのが得意な子など、それぞれ得意なことが見つかれば、その子どもたちの個性を伸ばしてあげてほしいですね。
--------------------------- これまで手掛けたおもな仕事...『小説新潮』の表紙絵。重松清『とんび』(東京新聞連載)、オグ・マンディーノ『ジュニア版 十二番目の天使』、赤川次郎『三毛猫ホームズシリー ズ』(光文社『小説宝石』連載)、こんのひとみ『保健室にいたらだめなの?』(ポプラ社)などの挿絵。谷川俊太郎『そのこ』(晶文社)、『ふたり★おなじ星のうえで』(東京書籍)、
『レタスの絵本』『パクパクいろいろごはん』(農山漁村文化協会)、『このすしなあに』『はしれ!やきにくん』(ポプラ社)『むらをすくったかえる』(ディスカヴァー・トゥ エンティワン)などの絵本。
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