■なんで、なんで猫を追いかけるんだ!ぼく。
 文豪、永井荷風が愛した街

 ぼくは家に飼い猫が二匹いる。どちらの猫もおとなしく、まったりと生活している。明らかに家猫と外猫は目つきが違う。
野良猫は眼光するどく何時も緊張を虐げる生活をしている。お化けや犬が怖いわけではないと思う。
今や都会では野良犬などまずいない。人間が一番怖いのである。なんとか共存共栄できないものかと何時も考えあぐんでいるのである。

 ぼくの趣味のひとつに猫を鑑賞することがある。
朝、気分と天気の良い日などは下駄を履いて近所を散歩するのが日課になっている。
途中、街で野良猫を見かけると必ず5分ぐらいは、そこにたたずみ野良猫鑑賞をしながら「いいこ、いいこ」と猫の頭を無理矢理なでなでする。
これを野良猫鑑賞ならぬ野良猫干渉とよんでいる。
 猫たちは気持ちよく「にゃーと」口を開けネバネバした唾液とともに、にっこり笑うので、その瞬間がとてもかわいく、愛らしく、ぼくの好きな時間トップ6ぐらいには、はいっている幸せなひとときなのである。
これだから野良猫鑑賞はやめられない。

 ぼくは東京の墨田区に生まれ育ち暮らしている。
いわゆる東京の下町と呼ばれる隅田川沿いの地域である。
 昔は高度成長とともに栄え、小さな町工場や活発な町内会の活動など生き生きとみんなが生活をしていた。コロッケ屋さんや駄菓子屋さん、もんじゃ焼きの怖いおばさん、そそっかしい蕎麦屋の出前のおにいちゃんや寿司屋のせがれなんかとは、銭湯で体もろくに洗わずに遊んでそのまま上がったりして、番台のおじさんに輪ゴム鉄砲で狙い撃ちされておこられたり、とてもフレンドリーな昭和40年代の古き良き時間の少年時代を過ごしたものである。
 大人になった今でも隅田川沿いに暮らし生活をし、絵本を描く仕事をしている。
そんな、愛しいく懐かしく新しい隅田川近辺の散歩と野良猫鑑賞の事を書いた、ゆったりしたりあせったりの日々をお楽しみください。

●第1章●
文人・永井荷風が遊んだ街。昔、玉ノ井、今、東向島を探検したのだ。

 文人、永井荷風の「濹東綺譚」や漫画家の滝田ゆう「寺島町奇譚」で知られる墨田区の東向島(昔、玉ノ井)、近辺を探検したのである。
東向島には何があるんだろうか。浅草から東武伊勢崎線に乗り業平駅(とうきょうスカイツリー駅に改名予定)、曳舟駅、その次が東向島駅である。業平駅を通る時は、東京スカイツリーの真下を通る感じになり圧巻する景色なのである。
都心からは地下鉄、半蔵門線が乗り入れているためとても交通の便が良くなってきた。東向島駅を降りると鉄道ファンが泣いて喜ぶ「東武博物館」がある。
東向島駅、近辺を野良猫探して散歩しよう。
東向島(旧、玉ノ井)は知る人ぞ知る娼婦の街だった。玉ノ井時代は「ねけられます」の看板は有名で、街並はいわゆる田舎道で、くねくねとした所に家が建ちまるで迷路のような街なのである。現在でも一度、初心者の人が東向島の街で迷うと抜け出すのに一苦労する。ぼくも最初は向け出すのに2時間かかった。今ではなれているので5分あれば駅に戻れるがなかなか奥深い街なので地図を持って入る事を強くお進めする。こんな事を書いていると街の人にお叱りのお電話をちょうだいするかもわからないがそうなんだからしかたがない。そんな商店街はやはり寂れてきている。スーパーマーケットやコンビニの登場でどの商店街も悪戦苦闘していると思う。昔はきっと活気溢れるほどだったにちがいない。大正通りやいろは通りがあり中華屋さんの「集来軒」などは昔はブイブイいわせてたであろうお年寄りたちが昼間 からチューハイをのみダミ声でやらしい会話をしたり、がんがんどやどやと大人の会話を楽しんだりしている。店の中はいい感じで昔の活気で溢れていた。隣でラーメンをすすっているぼくが入る余地は当然ない、今度は、ぼくもチューハイをたのみ見事によっぱらっておじさんやおばさん達とまじってみたい。
そんな、この通りは通称、チューハイ通りとも呼ばれている。どんどん若者も住み若い街の活気も取り戻せばなかなか楽しく新しい文化のできる街であろうと思うのである。
最近、若い芸術家集団が下町を盛り上げようとこの街に流れて来ているのもぼくと同じ考えなのかもしれない。
 おーっと肝心の野良猫探しを忘れていた。はたして野良猫はいるのか!
 簡単に居たのである。空っぽの空き地や車の無い駐車場ににゃにゃーといる。
人がいないぶん猫が居る。猫がのんびりとあくびをしている。たいていの野良猫は緊張と恐怖で眼光鋭くしているものだが東向島の野良猫たちはなんか幸せそうな顔をしている。猫おばさんたちも野良猫をかわいがる。餌をあげたり水をあげたりなんだかとてもいい風景である。いろは通りにある中華屋さん「宝来軒」でモヤシそば(あんかけのモヤシらーめん)をずるずると食べていると一匹の猫が調理場開けてあるドアから入ってきた。怖そうな店主はとくに怒りもせずに半端な肉片などをあげている。「ほら、ニャータごはんだよ!おいしいよ!250円だよ!」と冗談を言いながらニコニコしている。ぼくは聞いた「いつも猫ちゃんは入るんですか?」とすると店主は「ごめんあさいね。猫嫌いですか」と言う。猫ちゃんと聞いてるぐらいなので嫌いなことはないと接してくれていると思うが一応聞いてみたみたいなのだ。閑散とした商店街を抜けると有名なレストラン「カタヤマ」がある。ここは芸能人や有名人がくる。待合室の壁には証拠にサインが沢山飾ってある。待合室があるくらいの超人気店なのである。
疲れた僕は目的である野良猫も今回は簡単に出会う事ができたし散歩で2時間歩き回って疲れたのでまだ夕飯の時間にはとおいいがお客がまだまばらだったのを良い事に「カタヤマ」で牡蠣フライ890円をつまみながらビールをぐびぐび飲んで本日のお散歩を反省したり思い出したり「宝来軒」の綺麗な毛並みのニャータを思い出したり簡単なスケッチをしなあがら少しお散歩の予算をオーバーしたが気分が良いので、もそもそと手を上げてウェイトレスにおかわりのビールをたのんだのである。

にひひ

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