つかみとる実践力~暗黙知を駆動する「平づくり」「丸づかみ」の方法論~

つかみとる実践力~暗黙知を駆動する「平づくり」「丸づかみ」の方法論~

組織が求めているのは課題を解決する人材だ。 それは新規ビジネスを開拓したり、複雑に絡まった状況を打開してくれる人だ。 そういう力=実践力はどうやったら身につくのか。 理論と実践、熟達者達の観察とインタビューで練り上げた、日常業務から実践力を高める方法論。

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皆さま、


こんばんは、


引き続きお読みいただき、本当にありがとうございます。 


「つかみとる実践知」の本編は前回で終了とさせて頂きましたが、今日は一言内容についての釈明、そしてそのことで一言お詫びをしたいと思い、一文を入れさせて頂きました。 この1ヶ月ほど、実はこのテーマをどうするのが良いのか、ずっと迷っていました。 その迷いは今も継続したままですが、自分の中にある”未整理”を示して、ともあれ、最後までお付き合い頂いた皆様にお詫びだけはしておきたいと思ったものです。 


「あれ、どうなってんだ」と思っておられた方には、本当に申し訳なく思っております。 どうか、下記事情ご理解の上、ご勘弁をいただければと思います。


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連載の第5回「つかみとりの作法と行動」の中で“つかみとる”為の3つの作法の一つとして「自分、他者、組織の中に“適切な”折り合いをつける」を提唱しておりました。 ところが、その後本稿を書き進めるうちに「適切な“折り合い”」という部分に引っ掛かりを感じ始め、結局その後はこの箇所を取り上げないまま、連載終了に至ってしまいました。 一度掲げたサブタイトルを宙に浮かせたままとしてしまったことをお詫びすると共に、ここに至った私の考え方を補足しておきたいと思います。


組織で仕事をしている以上、自分の考えが上司や組織の方向と一致しない、ということは起こり得ることです。 自分が良かれと思って進めてきたことが、上層からの懐疑の声で頓挫させられたり、組織の方向と対立して行き詰ってしまう、ということは、どんな職場でも起きていることです。 倫理的な観点から組織の論理に同意出来なくなる様な事態も、現実的には十分起こりうることです。


この様な問題は、しばしば本稿で紹介しているような実践活動に水をさしたり、本質的とは思えない事柄にとてつもないエネルギーと時間を割かざるをえなくなる事態に至ったりもします。 悪くすれば組織や上層に向け不信感や絶望感を招き、自らのモチベーション維持に大きなマイナスをもたらす事もあるかもしれません。 組織はポジティブに機能している間は自らの力を拡大してくれる可能性を持ちますが、一旦マイナスに振れれば、テコでも動かない巨大な足枷になりうるものです。 


こうした問題を整理する考え方を示そうというのが、ここで目論んでいたことでした。 しかし結論としては実践力と結びついた人間の本質的な成長を指向する限り、そこには“折り合い”を超えた何かが無ければならないのではないか、少なくてもこっちとあっちの間を取って渋々握手をするような世界ではなさそうだ、との考えに至ったものです。 S君が自らの仮説に自己を投入し、外界と真剣に向き合い、外からのフィードバックに耳を傾け、自ら内省しつつ未来へ向けて格闘を続けている時に、それが組織の方向性と異なるから“折り合ってしまう”という決着のつけ方は、本稿の趣旨に照らして適切なものとは思えなかったのです。 


おそらくこの問題は、もっと広い文脈の中で人の生き方や働く意味を問う中に議論しなければいけないものなのだと思います。 それはそれで、自分としては改めて考えなければいけない重いテーマなので、機会を見て取り組みたいと思っていますが、かかる事情から本稿の中で決着させることは困難と判断したものです。 この点につき、ご理解を賜り、宙ぶらりんの不躾をお許し頂ければと思っております。 



『つかみとる実践力』 終わり



最後の最後まで、本当にお付き合い有難うございました。