本日の反対討論
原稿をそのまま紹介します
【反対討論】
議案第69号 明石市水道条例の一部を改正する条例制定のことについて
辻本 達也
2026.9.30
私は、ただいま議題となっております、議案第69号明石市水道条例の一部を改正する条例制定のことにつきまして、反対の立場から討論を行います。
本案は、将来にわたる持続可能な水道事業の経営基盤強化や老朽施設・管路の更新を理由として、令和9年4月から水道料金を平均約21%引き上げようとするものであります。
安全で安心な水を安定的に供給し続けること、また老朽化した施設や管路の更新を進めることの必要性については、私も十分理解するものであります。
また、公営企業管理者からは、料金収入の減少や施設更新需要の増大など、水道事業が抱える構造的課題への対応が今回の料金改定の理由であるとの説明がなされ、これについても理解するところであります。
しかしながら、だからといって本案で示された平均21%もの負担増が、唯一の選択肢であったとは到底考えられません。
市が一般会計で負担すべき費用と、水道事業会計・利用者である市民が負担すべき費用を適切に整理し、必要な財政調整を行う努力が十分になされたとは言えないことから、本案には賛成することができません。
以下、主な理由を述べます。
第一に、市の政策判断によって実施された、コロナ禍における水道基本料金免除による水道事業会計への影響についてであります。
令和2年度に実施された水道基本料金6か月分の全額免除は、コロナ禍における市民生活を支援するため「市全体の政策」として行われたものであります。
しかしながら、その結果生じた約8億円もの減収について、市は一般会計からの補填を行わず、水道事業会計に負担を集中させたままです。
私は委員会質疑において、この減収分について一般会計として今からでも一定の負担を行う考えはないのかと質しましたが、副市長からは「独立採算制」を理由とする答弁がなされるのみで、市の政策判断によって生じた減収に対する財政的責任についての考え方は一切示されませんでした。
「独立採算制」が水道事業運営の基本原則であることは言うまでもありません。しかし、市全体の政策として実施した施策の費用まで、後から水道利用者に料金値上げという形で“ツケ”を回してよいという意味ではありません。
「市からの支援」と謳っておきながら、後から料金値上げという形でその費用を「集金」するのであれば、市民にとっては単なる「負担の先送り」「負担の付け回し」に過ぎず、結局、自分の財布から払わされているだけです。
これでは、気前よく「今日は私のおごり」と言いながら、翌日になって「やっぱり昨日の飲食代を払ってくれ」と請求するようなものであり、まさに市民に対する「後出しジャンケン」「騙し討ち」と言わざるを得ず、行政としての誠実さを欠くものであって説明責任を果たしているとは到底言えません。
第二に、PFAS汚染対策費用の負担のあり方についてであります。
明石川におけるPFAS汚染問題への対応として、活性炭処理や水質調査などの追加的な費用負担が発生しています。
その額は、令和7年度までの5年間で9億5千万円、今年度分をあわせると約12億円となります。
このPFAS汚染問題は、本市の水道事業者である上下水道局の経営判断や不作為等により生じたものではありません。もちろん、市民にとっても何の落ち度もないことです。
外部からの汚染物質流入という不可抗力的な事象であり、市民の健康と安全を守るための「公衆衛生上の課題」であります。
私は委員会質疑において、こうした公衆衛生上の費用については一般会計からの繰出しなどにより、市として責任を負うべきではないかと質しました。
しかし、副市長から示されたのは「独立採算制」という硬直した原則論ばかりで、市として財政的支援を検討する考えは一切示されませんでした。
私はこの政治姿勢に大きな疑問と強い違和感を抱かざるを得ません。
PFAS汚染対策は、極めて公共性の高い課題であります。本来であれば、市民の命と健康を守る責任を負う市長として一般会計からの財政負担を行うとともに、国や県からの支援、さらには「汚染者負担原則」に基づく原因者への費用負担の追求など、あらゆる方策を講じるべきです。
地方財政法や総務省の「公営企業繰出基準」においても「公衆衛生や災害対応等の公的な性格を有する経費は一般会計が負担し得る」とされています。
それにもかかわらず、こうした公害・環境問題の対策費まで水道事業だけに負担させ、その結果を料金値上げに結び付けることは、市が担うべき責任を十分に果たしているとは言えず、丸谷市長の責任放棄というべきものです。
第三に、今回の料金体系見直しによる市民負担の偏りについてです。
今回の改定案では、料金体系の見直し等により、少量使用者や単身世帯ほど値上げ率が高くなる構造となっています。
委員会質疑では、月額500円aaから700円程度の負担増となるケースが明らかにされました。
単身高齢者世帯や若年単身世帯、生活困窮世帯など、水の使用量が少ない生活弱者ほど大きな影響を受ける改定は、到底納得のいくものではありません。
物価高騰が長期化し市民生活が厳しさを増している中、生命維持に不可欠なライフラインである水道において、このような負担の偏りを生じさせる改定が、市民の深い理解を得られるはずがありません。
「対話と共創でつくる もっとやさしいまち明石」を掲げる丸谷市長でありますから、あえて申し上げます。
丸谷さん ぜんぜんやさしくありません。
第四に、水道行政に対する市民の信頼が著しく損なわれている現状についてであります。
今年7月、本市市議会議員が代表を務める水道工事会社が、神戸市から指定給水装置工事業者の指定取り消しという、極めて重い行政処分を受けたことが明らかとなりました。
水道法の目的及び保護法益は、公衆衛生の確立と水道水の安定供給体制を確保することにあります。他都市であれ悪質な違反・不適格行為を行った事業者を排斥することは、市民の安全な給水体制と公衆衛生を守るための法的要請であります。
ところが、上下水道局は「他都市の処分をもって本市の指定取り消し云々の判断はできない」といった趣旨の見解に終始し、市民の立場に立つどころか事業者を擁護するかのような姿勢を見せ、現在も事実上これを野放しにしています。
さらに、先の本会議一般質問において市長にその認識を問いましたが、丸谷さんは一切答弁に立つことなく、顔を上げることも私と目を合わせることもなく、責任の所在を曖昧にしたまま逃避し続けました。
市民からは「なぜ、法が規定する欠格事由に該当し他市で処分された業者が明石では野放しなのか」「市民には21%もの大幅な負担増を強いる一方で、議員や業者には甘い対応で済ませるのか」と、深い疑問と強い怒りの声が上がっています。
このような水道行政や丸谷市長の政治姿勢への不信感が広がっている中で、市民に対してさらなる負担増への理解や協力を求めることなど、到底できるはずもありません。
結びに申し上げます。
私は、水道施設の更新や安全な水の供給のために、一定の財源確保が必要であることを否定するものではありません。
しかし、今回の料金改定においては、市の政策判断による基本料金免除の影響や、PFAS汚染への対応という公衆衛生上の費用について、市が負担すべき部分を丸谷市長が真剣に、そして市民の立場に立って検討したのかという点に強い疑問が残ります。
仮に、これらの経費について一般会計による一定の負担や財政調整が行われていれば、料金改定の回避、あるいは市民に求める負担の幅を大幅に圧縮することができたはずです。
また、値上げの時期についても再検討する余地があったはずです。
加えて、重大な行政処分を受けた業者への対応に見られる丸谷市長の不誠実さや不透明さ、本会議での説明責任の放棄など、市民の信頼を失墜させる姿勢を重ねながら、その一方で「独立採算制」を楯に、市民に21%もの負担増を押し付けることは、断じて容認できません。
「独立採算制」とは、市の財政責任や政治責任を放棄するために存在する制度ではありません。
市が負担すべき公的な責任をしっかりと果たし、法令遵守と説明責任を全うしたうえで、なお不足する費用について市民に誠実に理解を求めることこそが、行政として市長としてあるべき姿であります。
そうした検討も努力も姿勢も完全に欠如している以上、私は水道料金の値上げに係る条例改正に反対です。
よって、議案第69号 明石市水道条例の一部を改正する条例制定のことについて「反対」することを強く表明し、討論といたします。




