久しぶりにドップリ本にのめり込みました。

つかこうへい…もちろんその名前は知っていましたし、「口立て」と呼ばれる作劇術も聞いたことはありました。ただ、彼について書かれた本を読むのは初めてです。

この本を徹頭徹尾貫くもの、そして読者たる僕を捉えて離さなかったもの、それは「愛」だと思うんです。著者である長谷川康夫さんの、つかさんを慕い敬う気持ち、つかこうへい事務所という劇団への、そしてそのメンバーたちへの誇り(それは、文中でつかこうへい劇団を指す際、必ず「我々の劇団」と表記していることからも感じられる)。

学生時代のたった4年間だけですが、演劇をかじったことのある、そして、つかさんと比較することは出来ませんが、そこにはカリスマ的な先輩がいた経験を持つ身としては、とても共感できる、そして、とてつもなくうらやましい内容でした。

あとがきからの最後の一文…思わず涙ぐみました。

そして、桐野夏生「バラカ」。

あの大震災の時に、原発4基すべてが爆発していたら…

そんな、有り得たかもしれない日本を舞台に、大人たちの思惑に翻弄される少女の運命を描いた作品です。

読み応え十分なのですが、ちょっとご都合主義的な展開が多かった気がします。

登場人物に自ら突っ込ませてしまっているくらい。細かい表現は忘れましたが、「そんな偶然があるものだろうか」みたいな。

あと、原発を維持したい勢力、それは政府当局と思われるのですが、明記されることのない、やってることはほとんどゲシュタポばりの殺人集団が存在します。ただ表に出てこないし、はっきりとした集団としても描かれません。

いくら社会が混乱しているからと言って、大阪でオリンピックが開催されることが決定している中で、この人たちがなぜそこまでするのか?日本政府ってそこまでするの?ただ原発維持に都合の悪い人たちを排除するためだけに。というモヤモヤ感が最後までぬぐえませんでした。明確な説明もないし。

面白く読める作品ではあるので、ご興味ある方は読んでご判断いただければと思います。