歌にしたかい?
辻村邦久です。
毎日毎日、なんだってんだ。
人のクソ片付けて、人のゲロ掃除して。
って。
でもほんとうは、毎日思い続けてない。
その時、一回。
嫌になってるような、なってないような。
よくわかんないけど、この仕事をサボったことはない。
高熱でこないだ一日休んだけど、あとは二日酔いだろうが風邪だろうが、遅刻もしてない。
あ、一日寝坊したっけな。
iPhoneのアラームが鳴らなくてさ。
介護職を始める前の前の日くらい、俺は東京から札幌に帰って来てさ。
新千歳空港に着いたら、ソーリーでギター弾いてた友達からLINEが届いててさ。
えー、彼は介護士でバンドマンっていうスタイルで生活してて。
生活は自立してるようでしてなくて、相変わらず札幌生息時代の彼と結局なんら変わってないところがまず魅力的でね。
ギターを借りパクするような…あ、こういうのはやめとくか。
まあ、そのLINEのメッセージなんだけど。
介護は大変だけど〜とか。
ふとっちゃんは優しいから向いてる〜とか書いてあったんだけど。
中でもさ、
どんな人たちでも、みんな戦後の大変な日本を支えてくれた大先輩なんだから、敬意を払って接することを忘れないで
って感じの事が書いてあってさ。
俺は新千歳空港のトイレで泣いたんだ。
なんか。
事故に遭った友達の介護がしたくて、介護の仕事を始めたって言ってた友達。
ギターも歌もすげえかっこいいんだけど、なんだかどこか、ひとりぼっちのあいつ。
今はまだ気丈に振る舞う足の悪いお母さんを、俺はきっといつか介護施設に送り出すような親不孝者でさ。
だから、介護の知識は最低限持ってなきゃ話にならないなと。
叔母さんは釧路の介護施設で、漫画みたいに餅を喉に詰まらせて亡くなった。
憤りしか感じなかった。
信じられる受け入れ先がなければ、俺がお母さんを介護しようと思って始めた。
どんな理由で始めたにせよ、友達は介護士として働くにあたって、心構えを教えてくれてさ。
嬉しかったな。
でもまあなんだかんだ彼は働くのが嫌いみたいで、仕事を仮病でサボったり…あ、こういうのもやめとくか。
そんな友達が、シンガーソングライターとして、1月23日にアルバムを出したんだ。
お小遣い貯めたくせに、俺はまだ聴いてないんだけどさ。
みんなの心をノックするだろうね。
それぞれ、どんな来客になるだろうね。
ドンドンドン!って。
コン、コンって。
君の人生に思わぬ形で訪れるノックのような音楽を、俺も作りたい。
ブチャラティ!