カラオケに行くと、20代の頃によく一緒に通っていたメンバーを思い出す。

1人は姉のように慕っていた先輩で、二歳ちがいの同世代ということもあり、好きなアイドルや知っている歌が同じなのでなにを歌っても許される感じがあり楽しかった。

あの頃は本から番号を探してリモコンで入力して登録する方式だったので先輩は歌手名あ行から歌い、私はわ行から歌い、互いの歌が衝突するまで歌うと言うバカみたいな時間の使い方をしていた。何度か徹夜で歌ってデニーズで朝を迎えたこともある。

若い!

もう1人はやはり兄貴みたいに頼りにしていた3年上の職場の先輩だ。

彼はとにかく声が良かった。

私にとっては、悶えてしまうほど色気ある声に聞こえて若かった私はそれだけで好きになってしまった。

歌声に惚れてしまったのである。

けれど彼には結婚する予定の彼女がいたし、中島みゆきさんの「横恋慕」の歌を自分に重ねて聴いたりして、切ない片思いだった。

カラオケは1人で行くのも楽しいが気を遣わないメンバーで行くのも楽しい。

歌は若い頃の自分にとってタイムトリップできるのがいい。

ちょっとした時間旅行である。

久しぶりにあの頃のメンバーで歌いたいなあと思う。


@辻井坂