四回も舌がんを再発すると病院の担当医の先生や看護師の皆さんを含めて医療スタッフの方とすっかり顔見知りになり、再発は悲しいのだが、また再会できると思うと嬉しかった。

ちょっと変な感覚かもしれないが。

大学病院だったので研修医の方や新入りの看護師さんの若さ故の一生懸命さや廊下で先輩医療スタッフの方から叱られたりするのが聞こえてくると

「がんばれ!」

と、応援したくなった。

毎回、退院の時には担当して下さった先生や看護師の皆さんにお礼の手紙を書いていたこともあり、そこには「二度と戻って来ないように元気になります」と書いてお礼を書いていたから、また戻って来て情けない気持ちも強かったが入院生活は第二回見舞い祭りも開催して明るく楽しく過ごそうと決めていた。

その時の見舞い祭りでは,ゲッターズ飯田さんの占い本を見舞いに持って来てくれた友人がいて、ベッドサイドに置いておくと驚くほど検温や採血に来る看護師さんが「私も持ってますー!」とテンションが高い反応をするのが面白かった。

どうやら私を担当して下さっている看護師の皆さんはゲッターズ飯田さんのファンのようで,ファンミーティングのようなイベントにも参加されている方もいた。

皆さん、その占いで看護師に向いていると診断されていたらしく、興味深かった。

病院の先生方や看護師の皆さんは本当に忙しい。

神経も使うし不規則だし排泄物や術後の傷の処理もあるし本当に頭が下がる。

天職だからこそ続けられるのだろうと思う。

回診にいらした看護師の方にはこの職業を選んだ理由をほとんどの方に聴いていた気がする。

ご家族が看護師をされていたとか、育った家庭の教育方針が「手に職を」だった方もいらっしゃったり、サーファーから転職された方もいらっしゃったし、ご家族の入院経験やご自身の幼少期の手術や入院がきっかけの方もいた。

手に職があるのは羨ましいと話を聴きながら痛感した。

私もそんな風になりたくてキャリアカウンセラーの勉強をしていたのに試験直前に手術になってしまい気持ちが沈んだ。

でも術後の翌日ににキャリアカウンセラー養成講座の1人が過去問を印刷して見舞い祭りに持って来てくれてクラスのみんなからもLINEで激励のメッセージがあり涙が出た。

とにかくやれるだけのことをしよう。

舌が更に小さくなり発語に不安はあったが、予めそのことを試験機関に申し出ておくこともできると聞いて自分の話し方が聞き取りにくい可能性があることも伝えておくことにした。

退院後はクラスのみんなとの面接の練習会に参加して全員で合格を目指して励ましあった。

結果はなんとか合格。

クラスの皆さんや病院の皆さんに感謝しかなかった。

傷口が落ち着いて来ると発語にも不安はなく普通に会話ができるようになっていた。

でもこの半年後に五回目の再発が私を待っていた。


@辻井坂