見舞い祭り開幕。

祭りの参加者には病院にあるカフェで好きな飲み物を参加賞としてご馳走することにした。

最初に参加してくれたのは会社の同期だった。

彼女は入社3年で料理の道に転職してしまったのだが、新入社員の時に同じ部に配属になり、以来、なんでも話して来た。

彼女は手術の前日に来てくれて、ちょうどサザンオールスターズがアルバム「葡萄」を発売した時期でそのアルバムと新品のウォークマンに沢山元気になる曲を入れて持ってきてくれた。

病院の夜は長くて、なかなか眠れなくて、何度も目が覚める。

そんな時に毎晩、聴かせてもらった。

ありがたかった。

彼女は、ほぼ毎日来てくれた。

入社式で隣だった仲良しの同期も術後に関西から来てくれた。

久しぶりに集まった同期と話せて嬉しかった。

自分を含めた中学時代の男女4人グループで一年に何回か遊ぶのだが、そのメンバーも来てくれたし、会社の先輩も同僚も大学時代の友人もママ友も来てくれて連日、祭りは盛り上がっていたように思う。 

病院の玄関で祭り参加者を見送りながら、こんな自分のために貴重な時間を分けてくれて時間を共有してくれたことに感謝しかなかった。

病室のひとりぼっちで眠るベッドに戻ると見舞い祭りに参加してくれた皆の思いに応えるためにも元気にならなくてはと思っていた。

三度目の正直で今度こそ舌がんから解放されたいと切に思っていた。

三回目の手術だったからか術前も緊張もしなかったし、術後も元気だった。

首のリンパを切開したことに比べたら大したことないと思ってはいたが、やはり元気でいられたのは毎日の見舞い祭りのおかげだったように思う。

あの時の入院の日々を今でも時々思い出す。

見舞い祭りに参加してくれたみんなへの感謝を一生忘れないでいようと思う。


@辻井坂