3回目の舌がんの再発。

やはり、一度目と同じ左側の舌の側面に違和感を感じて見てみると口内炎が潰れたみたいな傷ができていた。

前回よりも奥にできていた。

嫌な予感はしていて医師の診察を受けなくても

またがんの奴に捕まってしまったと思った。

病院で細胞検査をすると再発してるとのことだった。

首まで切ったのになー。

また切るのかー。

自分の舌がどんどん小さくなっていく。

入院も3回目になると、なんだか結婚しても

結婚しても出戻って来るダメ嫁みたいな気分になった。

看護師さんや医療スタッフの皆さんの顔と名前もすっかり覚えてしまっていたので、なんだかまた戻って来たのは情けなく、気恥ずかしく

入院初日はナースステーションで

「すみませーん。また出戻りましたー。またお世話になりますー」

とヘラヘラ笑って挨拶した。

暗くなるのはやめようと思ったから。

看護師さんたちは笑顔で迎えてくれて

「またがんばりましょうね」

と言って下さった。

手術したり入院したりすると痛感するが、看護師さんたちの仕事は本当に大変だし過酷だし神経を遣うし対面するのは助かる命ばかりではないだろうし精神的に滅入ることもあるだろう。

感謝しかない。

だから暗くなるのはやめようと思ったのだ。

前向きに元気になろうとすることで感謝を伝えたいと思ったから。

がんの再発をオープンにしていた私にはありがたいことに見舞いに行きたいと言ってくれる友人や同僚がいた。

コロナ禍になる前だったから見舞いは可能だったのだ。

最初はわざわざ見舞いに来てもらうなんて申し訳ないとは思った。

でも社交辞令の見舞いは断わるとしても、

私が逆の立場なら見舞いに行きたい友人や同僚の見舞いは断る方が失礼な気がして「見舞い祭り」と名づけて「祭り」に参加してもらうことにした。

こうして第一回見舞い祭りを開幕することにした。


@辻井坂