二度目の手術後から復活するにはかなりの時間がかかってしまった。

傷口も舌がんがリンパに転移したことも受け止めて受け入れるにはそれなりに時間が必要だった。

時間薬というのはありがたく、休養して色んな本を読んだり映画を観たりするうちに、ふと気づいたら全てを受け入れている自分がいた。

職場に復帰するにあたり、職場の同僚にも大事な友人達にも全て打ち明けようと思えた。

自分の事情をオープンにしたら思っていたより楽になった。

私の話を聞いて実は家族ががんサバイバーだと打ち明けてくれる人もいて、本や資料を貸してくれたりありがたい情報サイトを紹介してくれたりした。

そんなことから新たな信頼関係が生まれたりすることもあるんだなと思った。

首の傷も隠さないことにした。

最初はスカーフ巻いてみたり、タートルネックの服だけ着たりもしていたが、だんだん面倒臭くなってきたのと別に悪いことした訳でもないし、

堂々としてりゃーいいじゃん!と思ったし、

これも自分なんだし隠すことはないなと。

傷を刻印されてリニューアルしたと思えばいいやと。

新しい自分になっただけのことだ。

そんな風に思えるようになって自分は少し強くなった気がした。


@辻井坂