老人ホームの評価について | 有料老人ホーム入居支援センター 代表理事 上岡榮信のブログ 「終の棲家通信」

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国内外合わせて1400箇所以上の施設を自分の目で確かめてきた「老人ホームの目利き」上岡榮信(うえおかしげのぶ)が、老人ホームのことはもちろん、国内や海外で出会った企業・組織・人などの印象深いお話を中心にお届けします。

老人ホームの評価とは、(投資、融資対象)

最近金融機関などから老人ホームの評価手法などについて問い合わせがある。

不動産証券化の流れに沿って、従来のオフィスビル、商業施設、流通施設、ホテルにとどまらず高齢者住

宅や介護施設もリート(REIT Real Estate Investment Trust)の対象とする動きが背景にある。

その際に、数十、時には100件を越す高齢者介護施設、住宅の物件を束ねて配当の資源となる家賃収入を

生み出す訳で、そこに組み込む価値があるか否かの選別が必要となる。

しかしながら、過去の不動産物件鑑定や、デユーデイリジェンスと呼ばれる作業では正確に,あるいは効率よく

リートの対象物件とし選別できないようである。

私見では、日本の老人ホームの場合は介護保険給付金という米国とは異なる要素がある。 これは1種の

補助金とも呼べるもので、入居一時金、及び月々の費用の全額を入居者個人が負担する米国とは異なる。

介護保険給付金は、容易な売上ともなるが、薬価と同じく将来どんどん変更、切り下げられるリスク、という

より運命の下にある。

従来の投資、融資、与信の基準は高齢者施設には、部分的に然有効でないと断言できる。

介護とかケアサービスという商品は、耐久消費財、消耗品とは全く異なる性質を持ち、パフォームングアー

ト、いわゆる舞台芸術に例えるとわかりやすい。


原作(経営者の思想、理念、事業ビジョン、経営哲学)に基づいて、脚本が書かれ、演出され、役者・俳優

(介護スタッフ)が身につけた技術に加えて、思い、心を込めて演じる歌舞伎、ミュージカル、オペラなどの

パフォーマンスが商品である。 その動き、所作,流れ、間を入居者と家族という観客が感じて、満足、感謝

感動する動的で、ダイナミックな商品であり、写真や、文章はもちろん、動画などでも十分には表現も、再現

もできないものである。

演ずる役者の情熱や、思いの前に思想、哲学の存在が大きい、漫画本でさえ手塚治氏や、石森章太郎の

大人に通じる、ミリオンセラー、ロングセラーにはおきなテーマや、思想の裏づけがある、老人ホームの経営

も然りである。

当然ながらそれらを評価、分析するにはあるレベルの感性、感受性に加えて定性的分析力、評価力が求め

られる事は言うまでもない。

有名な故ピーター・ドラッカー教授は、事業経営の成功には、『 良いプロダクト、優れたマーケテイング、

巧みなマネジメント 』の3つが必須と言われたそうだが、私はそれよりも京セラの稲盛氏が稲盛塾で説か

れておられる、経営は、『 考え方 X 熱意 X 能力 = 成功 』 の方が介護事業に於いては正解と

断言する。

次回は老人ホームの、『 破綻の前兆、倒産の条件 』 です。

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