1日目。
朝の4時起きることなど到底できないと思っていたが、見事に鐘の音で目が覚めた。
なんとなく落ちつかず、寝つきが悪かったこともあるだろう、爽快とはいえないものの布団でもぞもぞしている気も起こらず、顔を洗いに洗面所へ。
この洗面所にはユニットのシャワー3台、ステンレスのシンクが4台、水洗トイレが3台、小便器が4台、脱水機のみ使用可能の二層式洗濯機1台がある。
それぞれの仕切りなどはベニアがそのままさらされているような簡素なつくり。それでも、きちんと掃除が行き渡りとても清潔な状態で使うことが出来た。
ここには南面に大きなひさしが張り出してあり、その下で洗濯物を干しておくことが出来る。しかし、この洗濯物干し場の前はちょっとした山になっていて昼間でもほとんど日が差し込まない。
夏場ならもしかしたら日が入るかもしれないがこの時期は絶望的だった。
ただ、風通しも良いので意外とすぐに乾く。
ぞろぞろと皆が皆、黙々と歯を磨き、顔を洗い、トイレに行き、シャワーを浴びる。建物の隅っこには魔法瓶が置かれており、ほうじ茶とお湯と水を飲むことができた。
顔を洗い、トイレに行くとすることもないので、着替えてホールへと向かう。
ホールの中は暖房がほのかに暖かい。それでも備え付けの毛布を肩に掛けるほどには寒い。
特に合図もなく座る。
。。。眠い。
ここでしている瞑想は、
呼吸を意識するだけ。鼻の穴をを空気が通っているかを感じるだけ。
それだけを二時間意識し続ける。
無理。
何度も動くし、鼻もすするし、眠いし、暇なので妄想が頭にどんどん浮かんでくる。
私の場合はまず『眉間にヒアルロン酸いれようかな』だった。
眉間に刻まれた一本の深い縦皺。これがなぜか気になった。
『そうだ、人相的にもそっちがいいし、いくらくらいかかるんだろう、いれたらもてるかな、柔和な表情になるかもしれない、でも、一回入れてそれでにどといれなくてもいいのだろうか、くせがついてるだろうからきっと日常生活でもきをつけないといけないな。。。。』
などとエンドレスに考え始める。
あとは連絡が取れないことへの不安。
『もし、元の会社からなにかしらかの連絡きてたらどうしようかな、家族の誰かがたおれてたりしないだろうか、なにかのすれちがいで誰もここの連絡先わかってなかったらどうしよう、帰ったときに取り返しのつかないことになっていたらどうしようかなううううううう不安不安だぞおおおおお』
などということも取り留めなく考える。
そしてたまに呼吸を意識する。
そして、うつらうつらとしてしまう。
それでも早朝は頭が働いていないからか、ぼうっとしている間に時間が過ぎてくれる。
長かった瞑想の終わりに先生が入室してきて、創設者ゴエンカ氏のテープが流れる。
そのテープの終わりのほうで『この世の生き年いけるものが幸せでありますように』という意味のフレーズが流れ、同意するものは「サードゥー(×3)」と返答する。
自分は賛同するもののなんとなく言いたくなかったので言わなかった。
姿勢を変えようが何しようが一箇所に座っていると言うだけで体はかちこちに固まる。
その固まった体を伸ばしながら、食堂へと向かう。
朝の食事はシンプルだ。
玄米、白米、おかゆ、塩、味噌、梅干、黒ゴマ、パン、ジャム、バター、プルーン、オリーブオイル。あとはバナナやりんご。
私はどんぶりに玄米をたっぷり入れて、味噌と梅干、仕上げに黒ゴマをさらっとかける。
パンはトースターで温めることもできるので、待ち時間が長くあまり食べる気になれなかった。
味噌で食べる玄米は初めてだったがとても美味しく頂くことができた。
梅干も手作りらしくきつい塩味で目が覚める思いだった。
食事を終えて、テントへ戻り、就寝。
このときはすんなり眠りに落ちた。
また鐘の音で目が覚め、ホールへ。
基本この繰り返し。
しかし、人間と言うのは面白いもので、次はもっと集中しようとかこうやって座ってみようととか考えるもので、皆クッションの高さを変えたりなんだりしていた。
ここから先は記憶があいまいなので何日目という記述はやめることにしよう。
日に日に瞑想するにあたっての注意事項が細かくなる。
1日目は呼吸に意識するだけ、2日目は空気が鼻を通っていることを意識するだけ、3日目は上唇を底辺とした鼻の部分を含む三角形を意識し、4日目は上唇と鼻の下の人中のある部分で空気の流れを感じるか。
しかも集中自体は1分間そこにとどまっていられるか程度だったので、『余裕』
まさに、瞑想中の私の脳内は妄想天国と化すのであった。
その内容は先ほどのものに加え、エロいことが追加される。
ここから数日間はAVの企画を考えてみたり、その企画に参加して自分を想像してみたり、ひたすら妄想に浸る瞑想が続くのでありました。