何かオマージュ的な作品だったのだろうか?

青い炎以来の作者の小説。
黒い家も読んだし、どちらも面白かったイメージか残っているものの何故か食指が動かなかった。

今回の作品はノベルスの装丁が気に入ったからかもしれない。でも、購入したのは文庫本。どうしても持ち運びを重視してしまう。

一読して、読まなかった理由がわかった。
簡単に言ってしまえば、描かれているものが、好みでない。

けれど、面白い。

上下の厚みを気にさせず、グイッと物語に引き込まれる。

まだ、未読な人にこれを進めるならば、上巻だけを渡すのもいいかもしれない。

下巻を読んですぐに既視感。
設定は全く違うが、バトルロワイヤルの様な感覚。

上巻で底辺に流れるどす黒い川に、期待し賞賛し、違和感を肌で感じる。
その川は恐らく荒れて、全てを飲み込んで行くのだろうという予測とそうならないかもしれないという期待。

が、実際は黒いと思っていた川は、ただのそういう川で、黒という色の持つイメージとはかけ離れていた。
いや、黒い川はやはり目の当たりにすればおののくだろうが、慣れる。

総称してしまえば、
かの残酷小説作家の長編とでも言えば事足りてしまう。

だからこそ、この作品は恐らくオマージュなのだ。

以前、ロングバケーションというドラマかヒットした時、大瀧詠一が歌う主題歌もヒットしたが、その現象を目の当たりにして、友人が一言。

「この歌の良さを本当にわかってるやつは何人いるんだろうな?」

キムタクがでて、月9で、ドラマ全盛期。
実力派作家で、映像化も重なり、出版部数も伸びた。

もしかすると、もっとぞっとするわかる人にしかわからないどんでん返しが残されているのかもしれない。

そう穿ちつつ、Amazonのレビューに書かれている事はここでは伏せておこう。



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