周りに釣りをしている人は何人かいた。

釣りといってもスポーツ感覚であったり、狩猟感覚であったり、その捉え方は様々だが、ここに描かれるように取り憑かれてる様な人種にはあった事はない。

題名からもわかる様に、鮎釣りの話だが、私に言わせればサバイバルの話の様に思えてしまう。

趣味を超えた範囲だが、苦笑と諦めを持って接することができそうな主人公が一匹の巨大鮎を追う男と出会う事でその狂気にひきずられていく。

釣りの小説を読んだのは初めてだったが、これほど釣りのシーンを待ち望む事になるとは思わなかった。

端々で目にする登場人物たちの日常はあくまでキャラ付程度のものでしかない。
こちらが見たいのは、巨大鮎なんだ!と思いながらも、なかなか姿を現さない。

ひたすらに読み続け、待ち続ける。

ふと、読み終えて、顔をあげるといつもの風景。
その事が不思議に思うほど、私は川にいたらしい。


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