欲張り過ぎ感はあるもののお見事!とそっと本を閉じました。

現在である取調室と当時を往き来し、次第に現代での登場人物が賑わってくる。つまり、盛り上がってくる。

不良高校生が真剣に考えた「ルパン作戦」、そして、当時時効を迎えた「三億円事件」、そして、タレコミがあったものの時効まじかの「女教師殺人事件」。

もしかすると、この著者は物凄く人物の登場に気を使っているのかもしれない。
あまりにも鮮やかに、適材適所と言った具合で姿を表し、事実が明るみになっていく。

そこに目を向けてしまうと鼻に付くかもしれないが、そんな事を考えるよりも早く続きが知りたくなる。

要所要所に散りばめられた、鈍感な読者でも気になる様な伏線の張り方には鈍感だからこそ、お見事と!膝を打つ事になる。

感の鋭い人ならば、すぐに気がつく様な事かもしれないけれど、その部分に差し掛かった時の興奮を考えると鈍感で良かったと思う。

今の所、ハズレが無いと言える作家の一人。どちらかと言うと短編集が多いような気がするけれど、一つの物語にもっと長く触れていたいと思うあまりなかなか短編集に手を出すのは躊躇してしまっています。

一度「動機」を読みましたが、はっきり言ってそんな心配は無用。ドラマの深さは決してページ数には関係無いのだと思い知らされました。

けど、短編集は今ある長編を納めた後にしようかと思います。







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