この作家の持ち味は何だろう?

独特な言い回しと登場人物、そしてそれらにまつわる恋愛といったところだろうか。

山月記から始まって、藪の中、走れメロス、桜の森の満開の下、そして夢十夜。

古典をアレンジしたこれらの作品は私にとってある登場人物の物語に他ならないような気がする。


原典をすべて読んだ事はないからか、
面白い事に原典を読んでいないものの方が楽しめた。

とはいうものの、走れメロスの章では、終盤の混沌を楽しませていただいた。

完全に自分のものにしてしまっている作者の力量に感嘆してしまうほど。

けれど、もともと彼の作品が嫌いな人にしてみれば、
言語道断だと言われてしまうかもしれない。

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)/森見 登美彦

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