今回の趣旨を一言で言うと、殺せるものしか口にしない。

だから、川の水をこせる浄水器を買ったし、食料も持っていかずに人気のない場所を求め彷徨い、そして、飢えた。

と言っても、今回の飢えはそれ程でも無い。プチ断食よりも軽いものだ。

大洞川にの源流に向かって歩いて行くと倒木と落石と一面の苔。

古くなったジーンズは水を吸い硬くなり、肌にへばりつき、動きを拘束して、膝が破れる。そして、さらに動きが硬くなる。

動いているから後からくる寒さに気付かず平らなテントサイトを探す。

日は差し込まず、木漏れ日に風景の美しさを感じたりするものの、つまりは日が差さない場所がほとんど。

平らな場所をみつけ、テントを設営。

さて、と、竿を握りしめ、川辺に腰を下ろすも、へら竿の投げ方がわからない。

そこで、一人爆笑。

根掛かりしたところで、一先ず寝る。

雨の音で目が覚めて、また、寝る。

寒さで目を覚まし、ジーンズを脱ぎ、予想以上の低気温を防ぐ為に寝袋に包まる。

暖の幸せ。

暗くなって目が覚めて、高低差を見失う。簡単に降りられた川が嘘のように遠い。この時、パンツ一枚。ジーンズは乾かない。

外はぬかるみ、見上げる空も覆う葉に邪魔されてとても小さい。
仕方なく、テントの中で音楽を聴く。

川の音は心地良いけれど、うるさくて、音楽が聴こえにくい。

消して、ゴロゴロとして、寝る。

改めて思うのは、
雨が降ると何もできない。

乾かす事が出来なければ、
濡れる事は危険だ。

テントの中でバーナーをつけて、
ジーンズをあぶる。
泥のついた布のやける匂いがする。

危ないので、やめて、
鍋をあぶって、アイロンにする。

一気にテント内に蒸気が広がり、
熱帯の湿気と気温になる。

顔だけ外に出して、一服。

息が白い。

何度かアイロンをかけるも、
完全には乾かない。
蒸し暑さにやられて、すこし濡れた状態で履くことにした。


気付けば鳥が鳴き、蝉が鳴き始めている。

時計を見れば、5時を過ぎたところ。

外は明るくなって、釣りをし始めると気付かぬうちに、
昼間と変わらぬ明るさに。


あきらめて、テントを片付け、
沢を下る。

行きと帰りと昨日の雨のせいか
景色が違う。

一本道なのに記憶と違う。

川のかさも増えているようだ。

行きは一時間程度だったが、
帰りは二時間かかった。

体力が全くない。

登れた岩も、
なんだか力が入らず、
いちいち疲れる。

バイクにたどり着いて、
あー疲れた。



結局、
雨に人間は弱い。

これが一週間の一日であればまた違ったかもしれないが、
1/1なら雨の世界だ。

合羽を持っていけば?
釣り用の餌を持っていけば?

様々な「?」は尽きないが、
それを消して行く作業がこれからの課題だ。

寒くなるまであと少し。

ひとまず、
メンテナンスをサボっていた
バイクの面倒をみなきゃ。


さらには、キャリアをつけたいな。