大絶賛。

恋愛小説はあまり読みませんが、これは凄い。

突き抜けている感がページをめくらせます。


一目ぼれの小説。とでも紹介すればいいのでしょうか。

けれど、主人公は女性。

相手も女性。

だからと言って、簡単に同性愛でくくってしまうには、
熟語の意味が足りないのではないでしょうか?

そこを『一目ぼれ』という言葉で説明してしまうのは、
一目ぼれを軽く見ていた自分にして見れば、違和感が残ります。

けれど、
けれど、

一目ぼれとはそういうものなのかもしれません。

同様に愛という言葉は軽くも重くも使われ、
その在り方には決定的な説明をどこかで
拒んでいるところがあるのではないでしょうか?

それと同じと言ってしまうと乱暴かもしれませんが、
その人なりであり、その人格を無視した極致にある
一目ぼれの形の一つというのがあるような気にさせられました。

かわいらしい女性をみて『キュン』としてしまう。
それを一目ぼれと言っても間違いではないでしょう。

けれど、主人公の一目ぼれと比べると
まるで、ただの言葉遊びをしているだけのような
気がしてしまいます。

この一目ぼれの経過もさることながら、
行き先も凄まじいものです。

もう、この人の小説から離れられなくなりそうです。

『ほかに誰がいる』という題名も秀逸です。


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