面白い。

まだ前半部分だけだけれど、面白い。

日本史諸説は数多くあるけれど、それは全体を見通してはいない。

本作はその全体を俯瞰しようとしている。

歴史には推理が入る余地がありすぎて、

問題となる部分には常に議論が起こる。

邪馬台国などは良い例だろう。

この本のスタートは戦国時代は信長から始まる。

彼の用いた戦法である、三交替斉射は世界を通してみても先んじている。

本場のヨーロッパではその戦法が用いられるのはもっと先の事だと言う。

そして、話は信長の理性主義へと進み、比叡山の焼き討ち等は日本史観で言われている『非道』

とはかけ離れている。

そこにあったのは、『宗教』と『政治』の完全ある分離。つまり、理性に寄った行動であったという。

それで、大量に僧侶を殺してしまった事には違わないが、

彼らは武力ある僧侶であり、政治に干渉してきた外敵と何ら変わりがない事も事実である。

そして、その行動を『啓蒙主義』とし、ヨーロッパでの啓蒙主義の起こりである、フランス革命へと

話は進んで行く。


日本人は自国の歴史に自虐史観を取り入れがちだ。

中国では度々反日運動がおこり、韓国がなぜ未だに賠償を求めているのか、政治家の態度や世論だけで

『空気を読んで』しまい、事実として何が行われてきたのか、知る人は少ない。


本書冒頭では歴史を俯瞰することを『虹』と例える。

近くに寄り過ぎればただの『水滴』となり、『虹』を理解することはできない。

角度が違っていれば虹は消えてしまう。

教科書に書かれている歴史は正史かもしれない。

しかし、それだけで歴史を学んだとは言い難い。

『虹』を見る為に必要なものは何かを考えさせてもくれる本書は良書と言って良いだろう。

渡部昇一の日本史快読! (ワック文庫)/渡部 昇一

¥924
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でも、これ、BOOKOFFで100円で購入したんですが、

表紙は『昭和史』

中身は『日本史快読』でした…。

まぁ、面白いから良いんだけど、

なんだかなぁ。