『てりむくり』とはなんじゃいな。

と言う事で、読んでみた。

日本建築における意匠の一つである、『照り屋根』『起くり屋根』、その二つが合わさった屋根を

本書では『てりむくり』とし、筆を進めていく。

簡単に言ってしまえば、古い銭湯など唐破風部分等に良く使われている波型の屋根のことである。

この形状をした建築が日本に登場するのは平安中期ごろから。

かの日光東照宮にも使われている。(陽明門ではない)

その波型の形状は日本人の思想にも深くかかわっているのではないかと、

著者は言う。

それは、直角のように境界をはっきりと指し示すのではなく、あいまいな部分を残しつつ、

混成する、白黒ではなく、灰色の部分を表現している。

冒頭では、日本列島の形状も『てりむくり』と見たてられるという、いささか無理やり感漂う

個所もあったが、それでも、日本の建築の知らない面がまた見えた事はとても楽しい。

最後の方でも近代建築にもてりむくりが使われていると例をあげているが、

首をかしげざるを得ない。

てりむくり―日本建築の曲線 (中公新書)/立岩 二郎

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