言わずと知れた、倉俣史朗の著作。

豊富な写真と彼の記憶を掘り返したエッセイと夢日記。

ちりばめられた言葉が意味を通過して、詩的に洗練されていく気がした。

読み物として面白いのではなく、倉俣史朗のそのものを垣間見れる気がする。

それにしても、この人を超す事ができるデザイナーは当分出てこないのではないかと
思わせる程に鋭く、潔く、そして個性的だ。

戦時中見たという、電波妨害用の金属片がばらまかれた空に月の光が反射する部分はなんとも
幻想的であり、現実である。

ここから学びとれるものは何一つない。

つまり、彼は天才だと言っていいのだろう。