一番の衝撃は『髭』でした…


建築家の名前は知っていてもその人の背景などは全く無知な私なので最近ようやく建築家についての本を読むようになってきました。

ギャラリーフェイクという漫画で初めて知った『落水荘』以外あまり好きになれなかった彼の建築ですが、好き嫌いに関わらず建築を学んでいくということはとても面白いです。

下世話な話で言うと、『ライトの奥さんは4人替わった』とか『愛人が惨殺された』とか…。

今回の本はあくまでも帝国ホテルにまつわる謎を元帝国ホテル支配人『髭』を大伯父に持つ著者が記したノンフィクションである。

なので、それほどライトその人の建築的思想にはあまり触れていなかった。

それでも、面白かったのはライトの人生における転換期ともいえる時期の作品だという事と知られていない建築家下田菊太郎との微妙な関係、そして、どこを切り取っても決して明るく楽しいとは言えない物語だろう。

建築というのは第一印象だけで決めてしまえるものではない。

そこにどんな格闘があったのか?

その前後の建築界の流れは何だったのか?

それはなぜ起こったのか?

などと質問を挙げていけるだけその建築と向き合う事が出来る。

去年のGWに明治村で見た帝国ホテルはもう二度と見る事が出来ない。

なぜならこの本を読んでしまったから。

そして、もう一度帝国ホテルへ行ってみたい。
その時自分が抱く感想がいかなるものか俯瞰してみたい。

最後に印象的な部分から意味だけ抜粋

『この帝国ホテルは不思議なものでトイレに行こうとするといつの間にかトイレにたどり着いている。今のホテルは複雑すぎて迷子になるのに』と従業員か誰かの言葉である。