なかなか新店舗を発見することは難しいかもしれない。しかし、新店舗の開店の際には掘り出し物が見つかる可能性が高い。
昨年末、池袋にオープンしたBOOKOFFは良い例となった。
自分でも開店間もない店舗に足を踏み入れる事はなかったと思うので初めてという事になるのだが、これは非常に面白かった。
都内最大級とかなんとかという具合に銘打たれていた時点から、当然のことながらアルバイトの人数が大いいだろうと目を付けていた。
まぁ、一つの店舗に何人も社員を配属するほどこのご時世持て余してはいないだろうし、当然と言えば当然だが、それでも、アルバイトの人数が多ければ監理の目が行き届かなくなるのは自明だろう。
管理が行き届かなくなれば、当然、本の振り分けが雑になる。
振り分ける前の状態はいまいちわからないが、段ボールに入れられているとしよう。
聞いたこともない著作が積まれ、大層な帯の付いた本が置かれている。
ここからも想像は続く。
上下巻では上巻だけ105円の棚に回せとか、数巻にまたがっているものは1巻だけ105円にとか、丁装が古くても古典名作は105円にするなとか、専門書はもともとの単価が高いから105円には落とすなとか・・・・
そんな指示があったとしよう。
多少は本に興味あるけれど、あんまり本は読まないけれど・・・、そんなアルバイトたちはきっとミスを犯す。ミスと言っても発覚しにくいミスだろう。それは購買者にとっては『お宝』以外の何物でもない。
そんな期待を胸に秘め、店内をうろつく。こういう繁華街にある店舗は買い手にさまざまな人種がいるせいか種類が多く、そして棚に並ぶタイトルにも深みがある。
たぶん、にやにやしていただろう。いや、きっと、ニヤニヤしていたに違いない。
105円コーナーで安岡正篤関係を探す。
これがなかなか見つからない。それだけの良書であると判断し、半額の棚へ。だが、ない。
しぶしぶ、鯨統一郎の『なみだ学習塾にようこそ』を探す。これもない。
最終巻の壮絶な物語を先に読んでしまったものの、あの緩い雰囲気が何ともいえず探していたのだがなかなか見つからない。これは、単純にそれほど売れていないということだろう。
すごく面白いのだが、なかなかコレ!といったヒット作に恵まれない。
いや、最初の一作はヒットしたか・・・。
邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)/鯨 統一郎

¥693
Amazon.co.jp
話はそれたが、これもない。
なみだ学習塾をよろしく!―サイコセラピスト探偵 波田煌子 (ノン・ノベル)/鯨 統一郎

¥880
Amazon.co.jp
それじゃあ、と105円の小説コーナーを一通り見て回る。
それほど作家に詳しくないので、曖昧にしか作家の名前を覚えられていないのだ。
だから、『は行の人のミステリーで面白いのがあったな』とか『い』のカテゴリーの小学館文庫の背表紙に重厚な小説を書く人がいたなとか。
そんな感じで一通り目で追っていく。
なかには『ん?』とか『これは?』とか気になるものがあるのだけれど、『コレだ!』と反応しない限り手は伸びない。伸びたとしても、あらすじとあとがきを読むくらいだ。
そんな作業をしていると、ふと網膜に気になる字面が入った気がした。
もう一度その周辺を良く見てみる。
すると、『白洲次郎 占領を背負った男(上)』を見つける。
当然、その並びに下巻は存在しない。
けれど、ここはまだ開店したばかり。
エッセイ?コーナーにあるかもしれないとそちらへ急ぐ。
同じ講談社文庫の背表紙がならんでいる。
そこで、今度は下巻だけど見つける。
思い出せばガッツポーズをしていたような気もするのだが、さすがにそこまで見境がなくなっているとは信じがたい。
意気揚々とレジへと。
合計210円になります。
その言葉に快感を感じる私は多少なりとも変態なのだろう…。
鉄則
『下巻は必ず105円で見つかる!』
白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)/北 康利

¥520
Amazon.co.jp
白洲次郎 占領を背負った男 下 (講談社文庫)/北 康利

¥520
Amazon.co.jp
昨年末、池袋にオープンしたBOOKOFFは良い例となった。
自分でも開店間もない店舗に足を踏み入れる事はなかったと思うので初めてという事になるのだが、これは非常に面白かった。
都内最大級とかなんとかという具合に銘打たれていた時点から、当然のことながらアルバイトの人数が大いいだろうと目を付けていた。
まぁ、一つの店舗に何人も社員を配属するほどこのご時世持て余してはいないだろうし、当然と言えば当然だが、それでも、アルバイトの人数が多ければ監理の目が行き届かなくなるのは自明だろう。
管理が行き届かなくなれば、当然、本の振り分けが雑になる。
振り分ける前の状態はいまいちわからないが、段ボールに入れられているとしよう。
聞いたこともない著作が積まれ、大層な帯の付いた本が置かれている。
ここからも想像は続く。
上下巻では上巻だけ105円の棚に回せとか、数巻にまたがっているものは1巻だけ105円にとか、丁装が古くても古典名作は105円にするなとか、専門書はもともとの単価が高いから105円には落とすなとか・・・・
そんな指示があったとしよう。
多少は本に興味あるけれど、あんまり本は読まないけれど・・・、そんなアルバイトたちはきっとミスを犯す。ミスと言っても発覚しにくいミスだろう。それは購買者にとっては『お宝』以外の何物でもない。
そんな期待を胸に秘め、店内をうろつく。こういう繁華街にある店舗は買い手にさまざまな人種がいるせいか種類が多く、そして棚に並ぶタイトルにも深みがある。
たぶん、にやにやしていただろう。いや、きっと、ニヤニヤしていたに違いない。
105円コーナーで安岡正篤関係を探す。
これがなかなか見つからない。それだけの良書であると判断し、半額の棚へ。だが、ない。
しぶしぶ、鯨統一郎の『なみだ学習塾にようこそ』を探す。これもない。
最終巻の壮絶な物語を先に読んでしまったものの、あの緩い雰囲気が何ともいえず探していたのだがなかなか見つからない。これは、単純にそれほど売れていないということだろう。
すごく面白いのだが、なかなかコレ!といったヒット作に恵まれない。
いや、最初の一作はヒットしたか・・・。
邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)/鯨 統一郎

¥693
Amazon.co.jp
話はそれたが、これもない。
なみだ学習塾をよろしく!―サイコセラピスト探偵 波田煌子 (ノン・ノベル)/鯨 統一郎

¥880
Amazon.co.jp
それじゃあ、と105円の小説コーナーを一通り見て回る。
それほど作家に詳しくないので、曖昧にしか作家の名前を覚えられていないのだ。
だから、『は行の人のミステリーで面白いのがあったな』とか『い』のカテゴリーの小学館文庫の背表紙に重厚な小説を書く人がいたなとか。
そんな感じで一通り目で追っていく。
なかには『ん?』とか『これは?』とか気になるものがあるのだけれど、『コレだ!』と反応しない限り手は伸びない。伸びたとしても、あらすじとあとがきを読むくらいだ。
そんな作業をしていると、ふと網膜に気になる字面が入った気がした。
もう一度その周辺を良く見てみる。
すると、『白洲次郎 占領を背負った男(上)』を見つける。
当然、その並びに下巻は存在しない。
けれど、ここはまだ開店したばかり。
エッセイ?コーナーにあるかもしれないとそちらへ急ぐ。
同じ講談社文庫の背表紙がならんでいる。
そこで、今度は下巻だけど見つける。
思い出せばガッツポーズをしていたような気もするのだが、さすがにそこまで見境がなくなっているとは信じがたい。
意気揚々とレジへと。
合計210円になります。
その言葉に快感を感じる私は多少なりとも変態なのだろう…。
鉄則
『下巻は必ず105円で見つかる!』
白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)/北 康利

¥520
Amazon.co.jp
白洲次郎 占領を背負った男 下 (講談社文庫)/北 康利

¥520
Amazon.co.jp